魔法少女リリカルなのはA's+
A6
楽しくなのはとお茶をたしなむ予定だったはずだ。
それが崩されはじめたのは二時間前に遡る。
「初めまして、私アリサ。
……ハッ!あんた可愛いわね〜」
『……ふわー!?ご、ご主人んんっ……っ』
かなでに自己紹介をしてすぐ、エセルドレーダに駆け寄り頭を撫でまくる女の子一人。
「初めまして、すずかと申します。」
テーブルを挟んでかなでの右前。優雅に座って自己紹介をする女の子一人。
――思い返せば全てはこの二人から始まったのではなかろうか?
この二人は魔力を持ち合わせて無かったから良い。
だが人数が増えたからと翠屋に場所を移したのが失敗だった。
用が済んだのか小一時間話してアリサとすずかは潔く帰って行った。
ここまではいたって普通。
――五分後。
翠屋の扉が取り付けられたベルの音と共に開く。
客は金のツインテールの女の子、栗色のショートカットの女の子、赤いお下げを左右に垂らした女の子の三人。
その三人はなのはの姿を見つけると、かなでを気にしつつ親しそうに話し始めたのである。
「……やば」
ちらっとこっちを見た様なので魔力は気付かれてるはずだ。
――そんな訳でただいま絶賛ピンチ中な訳である。
何がピンチかって?
……なんで三人共魔力持ちなんだよぉおおおぉおっ!!!?
僕の人生、分岐点全てがバットエンド直行ですか?
あ、良い感じにトリップできそう……。
『……ご愁傷様、ですか?』
だまれエセルドレーダ。
心の中で血の涙を流していると赤いお下げの子から熱い視線を感じた。
「おめー誰だよ?なのはの友達かなんかか?」
「口悪っ!?」
予想外の口調に思わず突っ込んでしまった僕っておちゃめ?
「なっ……そんなのあたしの勝手だろっ!でどうなんだよ?」
「勝手やあらへん。いっつも言っとるやろ?ヴィータ。
うちは八神はやて言います。
はやてって呼んでください。こっちの口が悪い子はヴィータ。こんなやけどよろしくお願いします」
「うっ……はやてぇ」
「私はフェイト・T・ハラオウンです。よろしくお願いします。呼び方はフェイトで構いません」
「僕はかなで。呼び捨てで呼んで欲しい。
これから先“色々”よろしくね。
それとさっきのはただの条件反射だから気にしてないよ」
エセルドレーダから視線を感じた。
――ちょっと冒険しすぎたかな?
はやては足下に座るエセルドレーダを撫で僕を見上げる。
「可愛いワンコや……かなで。目ぇ、見えへんの?」
少し悲しい瞳で言う。
「にゃはは、はやてちゃん……」
「いくらなんでも直球すぎるよ……」
ヴィータ以外から非難の声が上がる。
「なんや!?気になったから聞いただけやんか!……それに、うちも車椅子やったから分かる。
そんな聞きたいけど聞けない見たいな雰囲気だしとったらかなでが気ぃ使うよ?」
その言葉に二人は衝撃を受けてる模様。
「あー、なのは?フェイト?僕は全然平気だからそんなに落ち込まないで。
はやても気遣ってくれてありがとう」
ヴィータも含めた全員が僕の笑顔を見て顔を反らした。
あれ?僕の笑顔って見るに耐えない?
かなでの心配とは裏腹に皆の心中は奇跡的にシンクロした。
――か、かわいい……!―――
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