魔法少女リリカルなのはA's+ A3 残留魔力により止められていた歩を進める。 住処の理想は二人でも窮屈でない所が良い。 工房を構えられる所だったら尚更素敵だ。 本来魔導師とは工房を構えるものである。近年工房を持たない者も多いらしいが、根っからアナログな僕は工房も持たない魔導師は一人前では無いと思っている。 途中やたら賑わいのある通りに差し掛かった。 目が見えないので何がどうなって居るのか分からないが、若い女の子の声が大半と美味しそうな甘い香りがするのでここは甘味屋じゃないだろうか? 「甘味屋……?」 寄って行くのもありかな―― 「…………」 と思ったのだが、どうもエセルドレーダは寄る気まんまんなご様子。 なんと言うか、何故か意地悪をしたくなる。 『エセルドレーダ、お金も少なくなってきてるんだし無駄使いしないで早いところ先を急ごう?』 『ふわっ!?……た、確かに無駄使いはいけません、です。しかし、適度な糖分の摂取は身体にとっても非常に良いと思う……ですよ!』 その狼狽え様が僕のS性に拍車をかけて下さった。 天使の笑みをもってして―― 『うん、確かにそうだけど先に寝城を確保しないとね』 死刑を告げる。 『……あ、ぅ。大丈夫、大丈夫……です。決してこのチョコ&カスタードシュークリームが食べたい訳ではない、ですよ……』 『ん、ソレでいいの?じゃあ入ろうか。』 『……ご主人んんんっ!』 嬉しいのは解るけどシッポが足にパタパタ当たって痛いよ。 「あ、いらっしゃいませーっ!」 店に入ると同い年位の女の子の声が元気よく響いた。 響いたのは良いんだけど―― これは……なんつー魔力。 「……?えーと、空いてる席へどうぞ?」 僕もエセルドレーダも呆然と立ち尽くしたのが不思議だったのだろう。 その女の子は僕でもうっすらと表情が分かる程とんでもない近さまでやって来て的外れな事を言っている。 いや、客と店員なんだから的外れじゃないんだけど。 「――――!あ、あぁ!ごめん。エセルドレーダ、空いてる席に」 魔力量と女の子の急激な接近に焦って、行動と指示が重なった。 ってかなんでこんなに焦ってるんだろう? 急に方向転換した結果。 「あっ!危ないのっ!!」 「あわっ!?」 エセルドレーダにつまづいて派手に転んでしまう。 「いっ――っ」 幸いテーブルにも人にもぶつからなかったんだけど。 ……その。 周りからの視線と擦り剥いた手のひらが痛い。 「だ、だだだ大丈夫ですかぁっ!?あぁっ!怪我っ!怪我してるのっ!手当てしなきゃ!」 ……いや、そこまで慌てなくても。 思ってる内に手を引かれ何処かへ連れていかれる。 [前へ*][次へ#] [戻る] |