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真・黒世界
幼なじみはご主人様

朝の陽射しがカーテン越しに差し込み、外では一日の始まりを知らせる小鳥がチュンチュンと囀る。

理恵は眩しさに目を擦り、身体を伸ばす。


「うぅん……いま……なんじ?」


寝ぼけ眼でベッドの横にある時計を覗く。

時間は7時30分。

ぼんやりとした理恵の頭の中を、その言葉が行ったり来たりする。

やがて意識の覚醒と共に、その言葉に意味が伴っていった。


「……しちじ…………30分!?」


理恵の絶叫が屋敷中に轟いた。










理恵は今、完全なメイド服を着て屋敷を走っていた。

屋敷といっても普通の家より少し大きめなだけなのだが、やはり二人だけで生活していると広く感じる。

理恵が体当たりする感じでダイニングへの扉を開けると、この屋敷のもう一人の住人、理恵の主人の康介が既に席に座っていた。


「理恵、そんなに慌てるとドアがなくなっちゃうよ」


康介は理恵とは違い(主人だから当たり前なのだが)、学生服に身を包み、パンをかじりながら理恵を見る。


「申し訳ありません……ご主人様……」


その視線を叱咤と感じたのか、理恵はどんどん小さくなっていく。


「だーかーら!
『ご主人様』じゃなくて『康介』!
昔のまんまでいいんだよ」


実は康介と理恵は幼なじみだ。

理恵はこの家に仕える執事の娘で、小さい頃は康介の遊び相手として何の気兼ねも無く過ごしていたのだが、成長していくにつれ身分の差を感じた理恵は、いつの頃からか康介を『ご主人様』と呼ぶようになっていた。


「でもごしゅ……康介様。
理恵はただのメイドですから……」


理恵はますます小さくなる。


「『様』もいらない。
呼び捨てでいいよ」


一方康介は額に手を当て、どうすればこの頭の堅い幼なじみを説得出来るのか悩んでいた。


「じゃあさぁ……理恵、こっちにおいで」


理恵は首を傾げながら、言われるがままに康介の隣に立つ。

それに合わせて康介も立ち上がる。

二人は、頭一つ分の差で見つめ合う形で止まった。


「今からゲームだ」


「ゲーム……ですか?」


「そう、理恵が僕を『ご主人様』って言う度に僕は理恵にキスする」


主人のいきなりの発案に驚く理恵。


「ご主人様!
そんなのゲームでもなんでも……」


「はい、一回」


康介は理恵の言葉をキスで遮った。


「んぐぅ!」


しかし理恵は康介の胸を押し返し、何とか離れる。


「プハァ!
いきなり何するんですかご主人様!」


言った瞬間、理恵は墓穴を掘った事に気付くが後の祭り。


「二回目」


再び康介は理恵の唇を奪う。

しかも今度はすぐには離さず、延々と繋がったまま。

始めは暴れたり押し返したりと抵抗を試みた理恵だったが、次第にその動きも疎かになっていく。

唇を離した瞬間、理恵は俯いて康介から視線を反らした。

しかし、理恵の頬が上気しているのを康介は見逃さなかった。


「さぁ、僕の名前は?」


「…………こう……すけ」


蚊の鳴くような声で理恵が呟く。


「よく出来ました。
ご褒美をあげるよ」


すると、康介は理恵の顎を片手で上げ三度唇を奪った。

しかしそれはこれまでとは違い、あくまでご褒美といった感じの優しいキス。

その証拠に、康介の腕は理恵を抱きしめる形に回っていた。

それに応えるかのように、理恵は自分より高い位置にある康介の後頭部に手を伸ばした。

その腕も康介が口内を舌でなぞるとギュッと締め付けてくるし、康介が支えていなければ倒れるのではないかと思う程足がガクガク震えていた。

そんな状態が数分続いた頃、康介の右手が理恵の背中を離れた。

康介の手は、複雑なメイド服を器用にかい潜り、スカートの中に侵入していく。

やがて、その指が理恵の秘所に到達した時、理恵は一瞬身体を硬直させた。

既にショーツは濡れており、康介が筋に沿ってなぞると、新しい蜜が康介の手に滴る。

康介はその感触を確かめると、やっと唇を解放した。


「理恵……」


康介が囁くと、理恵は無言で頷き椅子に寄り掛かる。

そして震える手でスカートを捲くり、グショグショに濡れたショーツをあらわにする。


「こうすけぇ……きて……」


康介はショーツを剥ぎ取り、学生服から既にいきり立っている愚息を露出させる。

そして胸ポケットからスキンを取り出すと、それを慣れた手つきで被せる。


「いくよ?」


「…………うん」


理恵の了解を得ると、康介は一気に理恵の中に侵入した。


「あぁ!」


理恵はその衝撃で椅子から落ちそうになったが、康介の腕が支えていたので大事には至らなかった。


「理恵の中……熱くて柔らかくって……凄くいい……」


康介は腰をゆっくり前後させながら、理恵を見つめる。


「うん……わたしも……いい……こうすけぇ……」


潤んだ瞳が康介を見つめ返す。

上気した頬、濡れた瞳、なまめかしい声。

どれ一つを取っても康介の理性を打ち壊すのは容易だった。


「理恵!!」


康介はそれまでの動きを撤回し、一気にスパートをかける。


「ぅん!あはぁ!こう……すけぇ!」


理恵もそれに合わせて動物的本能で腰を振る。


「理恵……理恵……」


目をつむり一心不乱に腰を振る康介。

やがて、康介の内に溜まっていた官能が限界を超えた。


「理恵ぇぇ!!」


「ああぁああ!!」


自分の中にスキン越しに広がる熱を感じ、理恵もまた絶頂を迎えた。


「ハァ……ハァ……」


「こうすけ……」


二人を互いを見つめ合い、唇を重ねた。










「なぁ理恵」


情事の後、理恵が後始末をしていると、康介が呟いた。


「何ですか?ご主人様」


熱が去ってしまった理恵がまた『メイドモード』に戻っていることにため息をつく康介。


「どうしたんですか?」


「いや……何でもない。
それより早く着替えた方が良いんじゃないか?
とっくに遅刻なんだし二時間目で良いだろうけど」


主人の言葉の意味が分からず、頭上に?を浮かべる理恵。


「いや、だから……学校」


康介が指差した先には、9時を示す時計が……

本日二回目の理恵の絶叫が屋敷に轟いた。

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あきゅろす。
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