二人の英雄の物語
鬼ごっこ
「痛った〜……なによ、も〜…」
無様に転けてしまった私は目に涙を浮かべながらゆっくりと立ち上がろうとしていた。
その間も変態は熱弁…もとい説教を続けている。
今のうちと急いで…と思った矢先。
「でね、私は思うんですが人が話しているのに逃げるとは何事なのでしょうか?」
(バレた…!っていうか一歩一歩近付いてくるのはヤバいから、この変態!)
そう思っている間も着々と近付いてくる。
もう少しといった所で一度歩を止め、反転したかと思うと、
「ですから…私は変態では無いと、何度も申したでしょうがぁぁ!」
体勢を低くしてスピードを上げてきた。
私からしたら、恐怖の塊が突進してくる様にしか見えない。
「いやぁぁぁぁぁ!くるなぁぁぁぁぁ!」
私はとっさに右手に当たった銃(転けた時に直し忘れたのを落とした)を前に構え、5発程乱射した。
その弾は全て彼に向かったのだが。
「ふっ!」
一発目は身体を捻り避け、
「とうっ!」
二発目は弾を飛び越し、
「はあっ!」
残りの弾は胸に刺さっていた薔薇を取り出し、花弁を自らスピンしながら散らし、障壁に変えて無力化された。
(気持悪〜!)
だって着地した後、格好つけてポーズとってるまではギリギリ許せるんだけど…何故か背景に花が舞ってるんだもん!
とりあえず銃投げとこ。
怯んだらラッキーだし、安物だから替えはあるから。
「あぐっ!?」
ポイッと投げたら軽く脳天ヒット。そして奴は衝撃で静止している。
(ラッキー♪今の内〜!)
私はその隙に後ろへ向いてダッシュで逃げた。
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