二人の英雄の物語
施設
「こちらモグラ。
遺跡より物資を輸送してきた」
「了解した、通ってくれ」
トラックは再び動き出す。
その隙を逃さず、僕は身を滑らせるように荷台から降りた。
硬い金属の床で受け身を取り、そのままの流れで近くの機材の間に転がり込む。
「ん?今なんかいたか?」
「っ!!」
一瞬、身体が硬直する!
「そうか?気のせいだろ」
「んー……そっか」
話し合っていた二人の兵士の足音が遠ざかっていく……
(よかった……
バレなかったみたいだな……)
誰もいなくなった通路に頭だけを出し、左右を確認する。
ふと上を見上げると、自分の隠れた機材が巨大な採掘機であることに気付いた。
(ドリルか……こんな大きいので一体何を掘り出すのやら……)
どうやらここは遺跡調査の施設らしい。
予想とは違ったけど、むしろこっちの方が都合が良いかもしれない。
遺跡調査が目的なら修理道具など掃いて捨てる程在るはずだ。
(この辺りは機材置き場みたいだな……
ならどこかに修理室があるはずだ)
僕は通路に出て、一歩一歩慎重に進んで行く。
(迷わないようにしないと……)
僕がそう思った瞬間!
けたたましいサイレンが施設内に轟いた!
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