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二人の英雄の物語
潜入
 
「ここは……」

例の小屋を前に、僕は立ちすくんでいた。

いや、これは小屋なんかじゃ無い。
小屋に見えたのは、上部が木の間から見えていただけ。

その下は、巨大な壁に覆われていた。
定かではないが、かなり広大な施設である事が見てとれる。

そして、入り口にしては巨大過ぎる門の上部には、逆十字に山羊の角を付けたようなマークが、×字に交差した剣の後ろに刻まれている紋章がポツンとある。

(キルバス軍の紋章……軍施設か……
でもこんな所に施設があるなんて聞いてないぞ?)

そもそもキルバス軍は侵略の為に創られた組織ではなく、はぐれ退治を生業とする兵士が集まり結成した傭兵団が母体になって生まれた自衛軍だ。

その名残の紋章、山羊角の逆十字に×字の剣―――神の定めに背いた生き物を両の剣で防ぎ倒す―――がその証明だ。

多分この施設も、はぐれ討伐の為の駐屯地か何かだろう。

「なら……入っても問題は無いかな?」

(でも問題はどうやって入るか……)

僕が潜入ルートを考えていた時、後ろからエンジン音が響いた!

「っ!」

慌てて近くの木の影に身を隠す!

「……大きいな」

一台の大型トラックが近づいて来る……

幸いこちらには気付かず、門の前に停止した。

(……今だ!)

僕は素早くトラックの荷台に潜り込んだ!

中は暗くて見えないが、潜入には支障は無いな。
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