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オリジナル小説
赤い女が笑う
 
「……何それ?」

「えー!ハル、知らないの?今一番噂になってる話だよ」

 放課後のチャイムが鳴り帰り支度を進める私――海棠 春美(かいどう はるみ)、あだ名はハル 。

 友達の由佳(ゆり)がいつものようにいきなり話し掛けて来た内容ってのは、今話題になってるらしい『真っ赤な女が夜な夜な笑い声をあげる』というありきたりな都市伝説。

 でもそんな噂、私には関係ないもんね。

「んじゃ、私CDショップ寄るから」

「帰宅部は楽でいいなぁー。運動神経良いんだし三咲もバスケやろうよー」

「折角の休みを部活で潰すのは嫌なの。誘うなら理恵にしなよ。
 ねぇ理恵……理恵?」

 教科書やらをそそくさと鞄に詰めながら隣の席に目をやると、椅子に座ったまま帰り支度をするでも無くただボーッとしてる親友の姿があった。

「……理恵?どうしたの?」

 綾川 理恵(あやかわ りえ)。

 肩まである真っ直ぐな黒髪と度のキツイ眼鏡が特長の私の親友。

 ちょっと天然が入ってるけどそこがまた良いんだよねー。

 でもその時は、ただ空間を見つめるその姿に何処か不安を感じてしまって、つい肩を揺すってしまった。

「理恵?」

「ふへぇ!?な、なになに?地震?」

「今、すっごくボーッとしてたけど……疲れてるなら早く帰りなよ?」

「あ、ありがと……うん……確かにちょっと疲れてるかも……」

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