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愛してHEAVEN
4

コンコン、とドアを叩く音が部屋に響く。


今はまだ、この家には俺と親父しかいないから必然的に相手は親父と言うことになる。


俺は寝たふりを決め込むことにして一切返事をしなかった。

「浬?寝てるのか?」

いつも馬鹿みたいに明るい父親だが、今日は流石に覇気がない。


そりゃ、昨日の今日だしな。これで俺とのことをすっかり忘れて、彼女が来ることを喜んだりしたらこの家を出て本気で一人暮らししてやろうと思ったけど、良識はあったらしい。

「浬……ごめん。お前も喜んでくれると思ってたんだ。今まで家事とかお前に任せっきりだったけど、これからはバイトでも友達と遊びに行くのでも自由で、お前の負担が減るからいいって……。だから、早く家に来て貰ってその時紹介しようと思ったんだ。だから……本当にごめん」

親父の、未だかつて聞いたことがないような真摯な声。


親父は親父なりに俺のこと考えてくれてたんだな……。


順番は明らかに違うけど、それも親父なりの愛情表現なんだと思ったらさっきまでの最低な気分は幾分浮上してくる。


確かに俺も、昨日は話を聞いた途端に腹が立って、リビングを飛び出したから親父の考えに一切耳を傾けなかった。


親父の声が聞こえなくなってから身体を反転させて仰向けになり、俺は視線だけをドアに流す。


数分経ってから、ベッドから足を下ろした。きっと親父はもういないだろうけど、ゆっくりドアノブを引いて開けた。

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あきゅろす。
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