愛してHEAVEN
3
「江夏!聞いてるか、江夏!」
突然名前を呼ばれて俺は目を覚ました。
「え?」
「江夏、手を挙げろ」
先生に言われたら嫌とは言えないので、俺は命令されるがまま右手を挙げた。
「蓮見、あれが江夏だ。江夏の隣の空いてる席へ行け」
――――蓮見。
その名前を聞いた途端に眉間に皺が寄る。
全国の蓮見さんには申し訳ないが、だって、嫌いなアイツを思い出してしまうから。
ガタン、と大きな音を立てて隣に座る『蓮見』
アイツとどれだけ違うかその面を拝んでやろうと、盗み見るように視線を向けると。
「――――お前っ!!」
すでに授業に突入していたが、そんなのお構いなしで席から立ち上がった。
「うるさい」
そう、鈴木より先に俺を窘めたのは『蓮見』だ。
いや、正確には――――誉。
俺は軽い眩暈を覚えた。
――――神様。
あぁ、いや。
こんな偶然と言うか試練に遭遇する時点で、この世に神様が存在しないことが嫌という程分かった。
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