愛してHEAVEN 6 「ただいまー」 二人一緒に家へ帰宅すると奥から恋歌さんが出て来た。 「おかえりなさい。夕食出来たらまた呼ぶわね」 にっこりと微笑む様は慈愛を含む聖母マリアのようだ。 女の子は勿論だが、そもそも『母親』と言うものに慣れていない俺は思わず赤面してしまう。 「はっ、はい!」 元気よく返事した俺に、誉は肘で小突き恋歌さんは可笑しそうに笑っている。 「聖夜や誉はそんな風に返事してくれないし、来夢だけだったから嬉しいなぁ」 来夢は間違いなくお母さん似だな。笑顔なんか恋歌さんとそっくりだし。 それなら誉と聖夜さんは父親似なんだろうか……と、真横の誉を盗み見たつもりが、バッチリ瞳がカチ合ったので驚いた。 「照れてんじゃねェよ」 グシャグシャと乱暴に髪を掻き乱されると俺は頬を赤く染めたまま、誉の手を払い退けようとした。 「照れてねーよっ!!」 「顔赤くして言う台詞じゃねェな」 「うるせー!」 玄関先で言い合っていたらニコニコ顔の恋歌さんが、 「二人とも凄く仲が良いのね。お母さん、凄く嬉しいわぁ」 と、険悪な俺達と正反対なことを言って退けたから二人して開いた口が塞がらなかった……。 [*BACK][NEXT#] [戻る] |