幼馴染み
11
「蒼は俺の専属家庭教師だからな」
堂々宣言した俺。
「その家庭教師様とこの前抱き合って寝たのは誰だよ」
「抱き?!」
「彼方。何か変な風に聞こえるぞ?」
「変な風じゃなくて、変なんだよ」
絶句した安藤に、やれやれとでも言いたげな彼方。
この反応じゃ、抱き合って寝たのはこの前だけじゃない……なんて、絶対言えない。
「廉は俺の抱き枕なんだよ。変な情報吹き込まないでくれる?彼方」
「二人っきりで勉強するだけでなく、抱き合ってるなんて……」
安藤はどっかいっちゃったみたいで、俺の後ろでブツブツ独り言を呟いてる。
彼方はというと蒼に諭されて、見るからに肩を竦めていた。
「ま、そーゆー訳だから廉に手出すなよ、安藤。それと、そろそろ離れろ。俺の堪忍袋がキレない内にな?」
太田先輩の時も思ったけど、いつもより声のトーンを落として話す蒼には、普段の温厚さとは正反対に迫力が増す。 それは普段とのギャップがそうさせるんだろうか……。
押し黙ってしまった安藤は、漸く俺から離れた。
俺が言っても全然聞かなかったのに……。
[*BACK][NEXT#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!