幼馴染み
6
「やった!」
喜ぶ安藤だが、抱き締められいている俺は堪ったもんじゃない。
「痛ぇよ!馬鹿力!」
「あぁ、ごめん。八切」
漸く安藤から解放されて、俺は一目散に蒼の背中に隠れた。
とても不快ではあるが、蒼も身長が高いために俺はそれだけで相手の視界から逃げることが出来る。
「あんまり廉をイジメないでくれる?」
蒼は背後の俺を一度だけ振り返って、すぐに安藤に向き直った。
「……湯河とホントに仲良いんだ」
「何だ、友達になりたいわりにそんなことも知らないのか?コイツらの仲の良さは筋金入り。もう熟年期もブッ飛ばした夫婦みたいなもんだぞ」
銀縁眼鏡を押し上げながら彼方が当然のように言い切った。
「――――桃井。三大美の内の二人も八切の友達、ってどんだけ競争率高いんだよ」
「競争なんてない!友達は友達だ!」
俺が蒼の後ろから顔だけを覗かせて叫ぶと、安藤がフッと鼻で笑った。
……あれ?
何か今、違和感……。
「まぁ、今日は先約あるみたいだし諦めようかな。また今度誘うよ。――――あ、八切」
名前を呼ばれて安藤を見上げると、初めて会った時みたいにニッコリ笑って。
違和感は気のせい……かな?
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