幼馴染み
1
「………は?」
「手紙?」
驚きの声を上げる蒼と彼方を尻目に、彼方の言った通り手紙を二人に突き付ける俺。
「そう!手紙!」
朝、学校に来て靴を履き替えようと下駄箱を覗いたら一通の手紙が入っていて。
「誰から?」
朝一緒に登校して来た時より幾分、機嫌悪そうに聞こえる蒼の声。
しかし浮かれていた俺はそんな明ら様な蒼の変化にも気付かないで、得意げに踏ん反り返って二人に手紙を渡す。
「えー、何?放課後に話があるから屋上に来て欲しい、なんて告白の常套手段じゃん」
業とらしくもトレードマークの銀縁眼鏡を押し上げながらニヤニヤと意地悪な顔をして彼方が言う。
「だろー?俺にもやっと春が!やっぱ見てる人は見てるんだって!」
「で、誰?」
蒼は相手が誰なのかが凄く気になるみたいで、さっきからそればっかりだ。
「宛名は……安藤 広海(アンドウ ヒロミ)?しかし廉にラブレターなんて物好きだよな。蒼なら分かるけど」
「って彼方!俺どんな扱い受けてんだよ!」
「え、だってなぁ。まともな女の子なら廉に告るより、絶対隣の蒼だろ」
「物好きは一人でいい」
「はぁ?!蒼、それは俺を好きになってくれた広海ちゃんが物好きってこと?!酷くね?!俺どんなだよ」
俺だって流石にそこまで言われたら傷付くぞ!
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