幼馴染み
10
「どうしてここが分かったんだ?どうしてここに来たんだ?」
聞きたいことはまだまだ沢山あった。だけど一番知りたいことを二つだけ聞いた。
俺を抱き締めたまま、ポンポンとあやすように背中を撫でる。腕の中、身長差のため不愉快にも蒼を見上げるような態勢になった。
「あー……。何か、嫌な予感がして。何箇所か回ったけど、この時間だし屋上かなって思って来てみたら運良く当たっただけ。それより……」
蒼の直感力に感服する。
もしあのまま、蒼が来てくれなかったら一体どんな展開になっていたのか……。
あ。想像したくない……。
「廉。何もされてないか?」
不意に蒼の手が俺の頬を掠めた。再び視線を向けると蒼の心配そうな瞳とカチ合う。
「うん、大丈夫。何もされてない!キスされただけだし!」
ま、キスで終わったんだからヨシとするか。
「って、蒼……?どうした?」
開き直った俺とは対照的に、急に黙り込んでしまった蒼。
その顔が嫌に真剣に見えて、俺は首を傾げた。
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