幼馴染み
5
「もう……何なんだよ…」
彼方がいなくなった後、机上に頬杖をつきながらブチブチ文句を垂れる。いっそこのまま、昼休みは寝て潰してやろうかと思い始めた時、そいつはやって来た。
「廉!」
元気なその声は、今は悩みしか思い浮かばない俺にとって、もはや雑音にしかならなったけど。
「……安藤…」
「廉、日曜はどうしたんだよ?!」
安藤は前席にある椅子をガタガタと引きずり、俺の目の前に腰を下ろす。
「あぁ……うん、ごめん、な?」
日曜、と言われて思い出した。
元は蒼が仕出かしたこととは言え、それらしい抵抗もみせずに着いて行った俺は間違いなく共犯だ。
安藤との約束を破って中途半端に放置したのは、流石に申し訳なかったなと思う。
「あの後凄い大変だったんだぜー。湯河がいなくなったら女の子達カンカンでさ。二人が抜けて結構すぐに俺達も解散」
まぁ、普通に考えたらそうなるよな。だって女の子達は最初から蒼がいることが条件だったんだから……。
「れーん……」
まるで地を這うような低い声音で名前を呼ばれて、頬が引き攣った。
「うっ……。だ、だから、悪かったってば…」
「本当に悪いと思ってるなら、態度で示してよ?」
「態度って?」
「んー、俺にキス、とか?」
「無理!!」
素早く即答してやったら、安藤は頬を膨らませて抗議してきた。
そんな顔されてもデカイだけあって全然可愛いくないし……。
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