幼馴染み
1
今日、俺は学校を休んだ。
母親には「しんどい」と嘘をついて。
普段、元気な俺がいきなりそんなことを言い出したもんだから、びっくりした母さんは慌てて体温計を俺に手渡してきた。
けど、当たり前だけど熱なんかあるはずもない。
だから「学校に行きなさい!」って怒られるかな……と一瞬冷や冷やしたけど、母さんは休むことを承諾してくれた。
『たまにはそんな日もあるわよね』
と言って俺の仮病を見逃してくれた母親。
いつもはちょっと……いや、大分抜けてるところがある人だけど……今日ばかりは、母さんに足を向けて眠れないや。
「眠い……な」
昨日から色んなことがありすぎて、ちょっと疲れたのかもしれない。ま、この疲れの半分以上は蒼が原因だと思うけど。
俺は自室のベッドで何度か寝返りを繰り返している内に、いつの間にか眠ってしまっていた。
やっぱり、自分のベッドは落ち着くなあ……なんて、どーでもいいことを考えながら。
――――で、その翌日はちゃんと学校には行ったんだけど。
丸一日、蒼を無視した自覚のある俺には、朝から気まずさが付き纏っていた。
昨日は食事時以外は本気で爆睡していた俺。その間に、蒼が訪ねて来てくれたことを母さんから聞いた。
母さんは当然のように蒼を家に招き入れたらしいけど、俺にはそんな記憶は一切ない。
しかも、聞いた話によると、蒼がうちに来たのって一回だけじゃないんだって。
確かに眠ってたとは言え、俺、どんだけ鈍感なんだよ……。
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