幼馴染み
8
「また負けたーっ!」
「廉、下手すぎ」
……格ゲーに嵌まったのはいいけど…さっきから何回やっても蒼に勝てない。
俺がぎゃーぎゃー騒ぐからか、或は蒼が上手すぎるからか……次第にギャラリーも増えてくる始末。
主に女の子だ。
女の子ばっかり。
ほぼ女の子しかいない。
男は稀だ。
……ゲーセンなんて男ばかりのイメージしかなかった俺はもう古いのか?
「廉?」
一人悶々と考え込んでいたら蒼に呼び掛けられた。
すると画面上にはご丁寧にも『YOU LOSE』の文字。
「もう帰る!」
何をしても蒼に敵わないと言われているみたいで段々ムカついてきた俺は、床に放置していた鞄を肩に担ぎ、蒼より先にゲーセンを出た。
その帰りの道で。
蒼は何も言わずに俺の数歩後ろを着いて来る。
そんなの、一々確認しなくたって分かる。
だって…――――。
「……っ!!」
ぼんやり歩いていたら、信号が青から赤に変わったことに気付かなかった。
「危ない!」
横断歩道を渡ろうとした瞬間、すぐ真横から大型トラックが現れて思いっきりクラクションを鳴らされて我に返る。
その直後に叫び声が聞こえ、咄嗟に背後から飛び出して来た蒼に強引に腕を引っ張られるような形で歩道に連れ戻された。
[*BACK][NEXT#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!