【銀魂】侍道 1話 日が燦々と輝く江戸の正午、真選組一番隊隊長沖田総悟は手頃なサボり場所を探していた。 沖「あちぃ〜…」 ?「そこのお兄さん、暑そうだね。さっき仕入れた氷でかき氷でも作ってあげよーか?」 沖「へぇ、珍しいもの持ってやすねィ。地方の商人かィ?」 そういいながら沖田は座敷に広げてある品物を手に取り眺めた。 ?「お兄さん、若ぇのに物知りだな。これはここから5日かけて西に歩くとある俺の故郷の名産品さ。買うか?」 沖「いや、やめときまさァ。土産なんて持って帰ったらサボってんのがバレちまうからねィ」 ?「……そうか。気が向いたらまた来てくれよ。暫くこっちにいるつもりだから。」 商人は笠ををクイッと深めに被らせそういった。言葉に妙な殺気を含めて。 沖「…へい」 その殺気を感じ取り緊張気味に沖田は答えた。 ・ ・ ・ 沖「土方さん」 土「んあ?」 例のごとく何とも異様な食べ物を夕飯にしていた土方は突然の呼名にまぬけな声が出た。 沖「今日見回りの時妙な商人にあったんでさァ。なんでも江戸から5日かけて歩かなきゃならねぇとこに住んでるらしいんでィ。」 沖田は今日の昼間にあったことを土方に話した。 土「…それがどーした?」 土方は普段あまりしゃべらない沖田の唐突な話に戸惑う。 沖「根拠はねぇんですがね、いやな予感というかそんなんを感じるんでさァ」 土「……」 妙に真剣な沖田の話し方にいつものおふざけではないことを悟った。 土「ま、大丈夫だろ。明日も見回りはあるしな」 そういった土方の言葉に納得はできなかったもののとりあえず、へい。とだけ返事をして睡眠のために自室に戻った沖田だった。 ・ ・ ・ ・ 翌朝 土「おい、総悟。今日の見回りもお前が行って来い」 沖「なんでですかィ。」 明らかにいやそうな顔をする総悟。 土「昨日のやつのこと見に行って来い。顔を知ってんのはお前だけだからな。」 沖「メンドクセェ…」 そうは言いつつ沖田自身も昨日の商人のことは気にかかっていたため渋々ではあるが見回りに出かける。 ・ ・ ・ 沖「…いねぇや。昨日はここで商売してたってのに。場所移したのか?」 当てが外れ面食らう沖田。さてどうしたものか。と歩き出そうとしたときだった。 『おい、河原で喧嘩だってよ。』 そういいかけていく市民の後を追うように河原に向かう。 ・ ・ チンピラ1「てめぇよそ者がこの町で出しゃばったらどうなるか教えてやるよ!!」 ?「出しゃばり?俺はサルに餌付けするほどの余裕はないって言ったんだ。むしろ謙虚なほうだと思うんだが」 チンピラ2「死にてぇのかクソガキ」 ?「そのクソガキから金目のもの巻き上げようとしてるニートどもが偉そうなこと言ってんなよ。」 あざ笑うようにそういった商人にチンピラがつかみかかる。 チンピラ3「てめぇ今すぐ謝らねぇとぶち殺すぞ?」 ?「誰が謝るか。調子のンな。」 相手を見据え堂々と言い放った。 そのひょうひょうとした態度に怒りチンピラどもは一斉に商人に殴りかかる。 バキッ!!という音とともに吹っ飛んだのは商人ではなくチンピラだった。 河原の橋の上で観戦していた市民がざわつく。 ?「ぶち殺すんじゃねぇのか?」 スッとこぶしを構える商人にチンピラは怯むが奥の手といった調子で懐から小刀を出してちらつかせる。 ここまで来て沖田が仲裁に入ろうとしたとき… バタバタッと残りのチンピラが倒れた。一瞬の出来事で誰もが目を疑った。 沖「あいつ…」 ?「深くは切ってねぇから安心しろ。これに懲りてカツアゲなんてやめて定職に就けよ。母ちゃん心配してるぞ、たぶん。」 そういって刀をしまおうとしたときガチャという音が商人の手元でなった。 ?「…ガチャ?」 沖「地方の商人とはいえ廃刀令のご時世に刀振り回してちゃこうせざるをえやせんのでとりあえず屯所まで来てもらいやしょうか。」 汗をだらだらたらし今起きていることを整理する商人。 ?「え…マジで?」 [*前へ][次へ#] |