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短編です。
3人友達



理解不能だった。

俺は小さい頃から連んでる2人の幼馴染が居る。
途中荒れまくった俺は、少し距離を置いていた時期もあった。
何となく会って何となく街を歩いていたら。

その2人が手繋いでた。



「俺様を褒め称えていたんだろ?な?そうだろ?」

俺様自己中と。

「こないだ、チョコレート食べてたな」

ワンコが。

付き合ってるなんて。誰が想像しただろうか。

そもそも何があったんだと問いたい。
ふざけてるのか。冗談なのか。
4月1日かと何度確認したか分からない。

携帯が壊れてるのか?と街中の時計を見たが同じ、もしくは多少ズレた時間だってくらいで、流石に曜日は同じだった。

俺様が出したビーフジャーキーを食べて千切れんばかりに尻尾を振るワンコ。
いや、気のせいなのは分かるが。
何だろう。
俺、邪魔っぽくないか?

ファーストフード店に入って俺の分まで頼むあたり、俺様自己中さんは昔から変わらず、俺が食うのを食えと言った感じだ。

ゆっくり離れた手を見ていると、俺様自己中の指がワンコの薬指を微かに握って離れて行った。

もやっとした何かが広がって、何故か鼻水が出てきた。

最近は下っ端の奴等も力をつけてきたからそろそろ俺は引退かなと天井を仰いだ。
チカチカと光る蛍光灯に滲む視界。
2人の後ろを慌てて着いていきながら、さみしくなった。

虚しい。
取り残された感。

ずっと親友だと勝手に思ってた。
いや、これからも親友だけどな。

いつか酒を酌み交わして、あのときああだったとか話す日が来るんだろうと思ってた。
多分いずれそれはあるんだろうけど、意味合いが変わると思う。

2人並んで座り、俺も遠慮がちに前に座った。

真剣な顔をする2人に何だよとぶっきらぼうに答えた。

「俺たち、付き合ってる。」

「お前には言わなきゃいけないと思ってよ」

「…ふーん」

そりゃ、あれだけベタベタしてたら気づくだろう。

唯我独尊。俺様的自己中と。
猪突猛進。ワンコ的喧嘩番長。

周りなんか見てないし、ましてや気にする奴等じゃない。
親に反対されてもきっと駆け落ちでも平気でするだろう。

「ま、俺には関係ねぇよ」

突っぱねてポテトを頬張ると塩が気管に入って咳き込んだ。
小さく、良かったなと呟けば、嬉しそうに笑う2人。

以前から俺はあいつが好きなんだと2人から相談されていた。
だからこそ俺は相談役を逃れるべく離れた。
不良に走ったきっかけはこいつ等のせいだと今ならはっきり言える。

「関係ないわけねぇだろ。俺様はお前に感謝してんだ」

「だから、これからも。よろしくな」

やっぱり鼻水出た。





あとがき
3人友達って2人がくっついたら1人残っちゃうなぁと思い、書きました。
きっと俺様さんがお前にはこいつがいい!とか言って恋人候補を無理矢理紹介するんだろう。

読んでくれてありがとうございました。





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