桜庭学園の王道は少し暴走する。
会長の空笑い。
面倒になったので二人を放置して部屋に戻った俺は、ソファーに寝ている東にブランケットをかけた。
どうも初めて会った時使ったブランケットがお気に入りらしく、白いにゃんこに包まれてちょっと幸せそうな顔になった。
東は親が海外に居るからと、夏休みは寮で過ごすそうだ。
そう言えば最近東はサボり癖が再発したらしい。
今日も部屋から動かなかった。
俺は立ち上がり、自室の荷物を纏めようかと溜息を零す。
「しかし何を纏めればいいのか…」
「服とか日用品だけでいいんじゃねーか?」
「…何で居るんですか」
人の部屋に…
自室を開けるとさも自分の部屋だと言わんばかりに会長がベッドに座っていた。
「お前は明日出るのか?」
「え?はい。弟にも会いたいですから」
「そうか…」
シュンと項垂れる会長に、どうしたものかと頭を悩ます。
何かあったのだろうか?
「すまんが夏休みの間、いや、数日でいい。お前の家に泊めてくれないか?」
「…はぁ。多分大丈夫ですけど」
不安気な表情がパッと明るくなる。
やはり何かあるのだろう。
夏休みの間、友人の家を点々と回るつもりなのか?
「家に帰りたくないなら寮でいいんじゃないっすか?」
「…いや、迎えが来るからな」
それきり黙り込む会長に聞き出すつもりもないので荷作りをする。
「すまないな」
「いえ」
空笑いとでも言うのか、普段の会長とは全く別人だと密かに思った。
[*逃げる][説教#]
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