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桜庭学園の王道は少し暴走する。
体育祭競技決め。


俺達が他愛ない話をしていると教室に赤坂先生がダルそうに入ってきてからは創路委員長が教卓へ向かった。
何か行事があるのかな…。

「お前ら〜2年なら分かってるだろうが体育祭があるから後は勝手に決めてくれや」

「では用意された行事を書き出しますので何に出るか各自で考えておいて下さい。」

俺は寝ている東を小突いて起こすと体育祭について聞いて見たが…

「俺、前サボったから知らん」

だ。

「体育祭は毎年生徒会が提案する行事があってね」

「生徒会が?」

「前は全校生徒での鬼ごっこだったよ」

「うっわぁ」

凄い勢いで逃げ惑う人達を想像してめまいがおきた。

「その前はぁ…5人になるまで誰かを撃ったりしたよーな…」

「撃つ!?」

シキの言葉に大袈裟に驚いて上体を反らせる。

「中の玉はペイント弾って、撃ったらインクが飛び散る特殊な玉作って相手を撃つんだよ」

ありゃあ中学の時見てたが凄かったなぁなんて呟いて頷く後藤。
真輝はいつの間にか藍沢の隣に立っていた。

「では、決まった人達は前に来て自分の名前を書いて下さい」

創路がそういうと我先にと走っていくチワワ達。生徒会と何かあるのは見れば分かるだろう。

100m走や、棒倒し、綱引き、玉入れ、部活対抗リレーは分かる。
何だあの水かけ鬼ごっこって。

「今年は水当てられたら脱落ぅって感じかなぁ?」

今日はパンダ『ユンユン』を握り締めて小首をかしげるシキはやはり高校生には見えない不思議。

「俺、100m走に出る」

「あ、灰崎が出るからっショー!」

「…」

分かりやすーく目線を反らして頬を赤らめる真輝にある意味感心した。
真輝は自分よりでかい灰崎に好意がある様なのだ。
軽くショッキングな話だが人の趣味にとやかく言う事もないだろう。

「じゃあ俺は棒倒しにするわ」

「何で?お前なら100m走じゃないか?」

東の問いに俺はダルいと答えた。

「それに棒倒しは得意なんだよ、俺」

「あれに得意、不得意ってあったか?」

「まぁ、俺に任せろ」

ん、ぉおう。と、どもる東。
後藤はおっとこまえーなんて茶化してくる。

「俺は綱引きにする。シキは?」

「玉入れー!あとパン食い競争するっ!!」

「東はしないのか?」

「俺は…棒倒し」

「リューちゃんとが良いのか。そうかそうか、かっわいいナァ!」

ちげぇって真っ赤になりながら殴りかかるがサラリと交わして俺を引っ張って黒板まで連れて行った。

「100m走も入っときナァ?二つはしといたが体育の成績にも入るしネェー」

「そうなのか?」

「しなくても影響ないけどさー、うんうん。まぁ成績悪いより全然良いし!クラスの団体成績にも影響出るし!!走れない子が走るより良いよ!!それに学年一位には商品あるからさ!」

さっきはだらけていたクセに急に生き生きと語り出したので名前を書きながら相槌をうっておいた。

「100m走。負けない」

「ん?ヤル気満々だな真輝」

「そりゃあ商品は自分で選べるからねぇ〜」

「へー」

今から考えておこうかな。
100m走に出る人数がそこまで多くないのは勝てる自信がないからだろう。
綱引きや玉入れは団体戦なので商品はあるにはあるが、食堂での割引や、お菓子盛り合わせなどらしい。
体格の小さい人を考慮しているのが毎年生徒会から出される水かけ鬼ごっこなど、らしい。

「まぁ確かにそう言うのはチワワ達には不利だしな」

「そゆこと。あ、100m走って二回戦だから頑張ってね」

「何で!?」

「一位になったらクラス対抗になるんだよ」

「その中で一位になったら優勝って事。総司と龍騎くんの勝負は一回戦で決まるね」

「本気で来なければ殴る」

書きに行って帰ってきた藍沢はニコニコしながら真輝を指差す。

頑張らねば。真輝には本気で来いと言われたし。
真輝と爽やかに握手をするとその後ろから真輝と同様に背の高い顔の至る所に傷を作った青年が顔を出した。

「お前ら〜!!オレが居るって分かってて言ってんのか!?」

「え、と。どちらさん?」

「オレは秋永直哉!!スポーツ特待生でここに来たんだ!」

「だからバカだけどねぇ〜」

「なっ、バカじゃねぇーよ!風邪だって引くんだからな!!」

馬鹿だ…と皆が思った事はこの際気にしない。

「100m走。負けないからな!特に龍騎!!」

びしぃっと指差された俺は、コクリと頷いて右手を差し出した。

「よろしくな」

「う、ん。ま、負けない…」

「あぁ、手は抜かない」

手を握り返されたので、にこりと笑うと唇を尖らせてそっぽ向いた。
罪なヤツ〜と後藤が茶々入れてくるが無視だ。

そんなこんなで話は進み、体育祭の競技決めは難なく終わった。

[説教#]

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