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桜庭学園の王道は少し暴走する。
東家



宮間の勉強を東と手伝いつつ、見学や、実際に行くはずだった秘書に話し合う内容を聞き、ある程度理解した所で、東の父親に挨拶する場を貰った。

毎日忙しいらしく、中々お礼をする事が出来ず、申し訳ないと常々思っていた。

忙しいのに無理矢理時間を作ってくれたらしく、当日には宮間も早朝から来て、そわそわとしていた。

東は寝癖のままプリンを食べていたが。

「そう言えば龍騎。それなんだ?」

東がふとプリンをテーブルに置くと、俺の横に置いてある紙袋を指差した。

「あぁ、昨日東が昼まで寝てただろ?だからその間に買っておいたんだ。」

「土産?」

首を傾げる東に頷き、そこまで頭が回らなかったと嘆く宮間にそれを渡した。

「お前が1番世話になるんだ。みやから渡せ」

「えっ!いやいや。りゅーが買ったんじゃんか」

「いいよ別に。みんなで世話になってるわけだし」

そう言うと宮間は頭を掻いて受け取り、小さく礼を言った。

携帯を取り出した東が、プリンをかき込むと、立ち上がる。

「斎藤着くってよ。」

ゴミを捨てて大きな欠伸をすると、部屋から出て行った。
それを追おうとする宮間の背中を叩いて、俺は口を開く。

「大丈夫だ。気を張り過ぎるな、みや」

「…おう」

困った様に笑う宮間にもう一度背中を叩くと、外に向かって足を踏み出した。








東の家は想像以上だった。
お金持ちの家と言うより代々続く屋敷が密集してるような、表現し難いが、平家が幾つか敷地内にあり、その一つが東のためにあるそうだ。

そして、主に使われている家はそのどれよりもデカく、かと思えばお金持ち感は薄い。

玄関の入り口も質素で、それでいて和と洋を違和感なく取り入れた作りになっている。

玄関先に既に待っていた東の父親は、そのよく似た目元を下げ、大きく手を広げた。

「ようこそいらっしゃいました。透吾の友人達。ささ、早く上がって」

「え、あ。お世話になります。わざわざありがとうございます」

東とは全く異なる性格なのか、俺たちが驚き慌てて頭を下げると、東は面倒くさそうに溜息をついた。

「親父、どかねぇと誰も上がれないだろうが」

「あ、そうかそうか。斎藤、お茶の準備をしてくれないか?」

そう言って体をズラし、東の肩を掴むと、案内するからと俺たちが靴を脱ぐのを待って、うきうきした様に廊下を歩き出した。

「親父…落ち着けよ。恥ずかしい」

「えぇ…いいじゃないか。初めて友達を連れてきてくれたんだ。父さんは嬉しいんだよ」

着物の袖に通した腕をパタパタと動かす父親を見て東が項垂れると、立ち止まって襖を開いた。

思わず笑ってしまったのは不可抗力だろう。





[*逃げる][説教#]

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