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Have a nice X'mas!



…寒い。寒過ぎる。

冬は嫌い。
理由は明快。
寒いから。

寒過ぎて歯はガタガタするわ、胸はぎゅーってなって苦しくなるわ。

利点と言えば…そうだ、愛しい彼が私の右側を暖めてくれるんだ。

手を握る。

腕を組む。

ぴったりと寄り添う。

『恋人の特権』をフル活用し、私は彼からたくさん暖をもらっていた。


なのに、12月目前、彼がいきなりいなくなった。

もちろん、別れたわけではない。

彼の会社からの突然の1年間の出張命令。

新入社員の彼が断れるはずもなく、私達は簡単に引き裂かれた。


誰だよ出張命令出した上司!!


仕事だから仕方ないよ?
……上司が悪いわけでも…ないのもわかってる。
ましてや、まだ学生の私が仕事を頑張ってる彼に「さみしい」なんてワガママを言えるわけもない。


だから我慢しますとも。
でもね!!
クリスマス当日にさえ、なんの連絡もないってどういうこと?!



会えなくなって3週間。

たったこれだけなのに辛いなんて。


会えない

会えない

会いたい

声が聞きたい

触ってほしい

頭をポンポンってしてほしい



ダメだ。

彼に出会ってからどんどん子供に戻ってる気がする。

でも止まらない。



お昼もとうに過ぎ、時計の針は一直線になった。

午後6時。

悶々と頭を抱えていた私は連絡を待つことを諦め、晩御飯の用意を買いに外に出た。


しかし

…寒い。寒過ぎる。

今日の最高気温は5℃。
街の暖かいイルミネーションと道行くカップル達をみると余計に寒くなった。


右手が冷たい。

胸が痛い。

原因は寒さなのか寂しさなのか、判断する思考すらもフリーズした。



涙と寒さのダブルパンチで鼻をすすっていたら、いきなりメールの着信音が鳴った。




『駅、着いた!
今、どこ? 』





うそ。


思わず出た驚きは白く消え、それにも構わず、私は駅まで走った。

スーパーと駅は徒歩5分という素晴らしい立地だったため、すぐに駅にたどりついた。



どこ?

どこ?

気ばかりが先走って、携帯を握り締めたまま駅構内を見渡す。
すると、大きく手を振る人影が見えた。




気が付いたら走っていた。

そしてそのまま首にしがみつく。


「うわーん!!ばか!!寒かったよー!!」


子供みたいな悪態をつく。

彼はそんな私の頭を優しく撫でて私をぎゅーっと抱きしめた。

同じ『ぎゅー』でも、なぜこうも違うのか。

「ごめんな。びっくりさせたくて。
それにしてもお前、ほんと寒いのダメだな。鼻真っ赤!」

おどけて笑う。

いつもなら腹が立つこの態度も、今はただ懐かしくて、愛しさに変わる。





あーもう!!





大好き


大好き




日付はまだクリスマス。




1日半分終わってても、なんでもいいや!


腕を組みながら手を繋ぎ、彼にぴったりと寄り添う。
そしてイルミネーションのある方向へ歩きだす。



幸せ!!





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