main
小指
運命の赤い糸
人生での『運命の人』と自分の小指には、絶対に切れない赤い糸が結ばれている
----
そんな伝説を、世間の人は特に意識しなくても常識として知っている。
じゃあ、と嬉々として彼と私の小指の間をまじまじと観察してみる。
久しぶりに重なった休日。春だし!なんて単純な思い付きで近くの公園をのんびり歩く。
私の隣にあなたがいて、あなたの隣では私が歩いてる。
こんな木漏れ日のような幸せをずっと感じていたくて、願うように彼の小指をじっと、みつめる。みつめる。
「何してんの? 眉間に皺なんかよせて。」
あまりにも集中してたので、いきなり降ってきた彼の何気ない一言にも飛び上がってしまった。
「う、ううん!克也の指、きれいだなぁって、見てただけ!」
何意味わかんない言い訳してんだ私!
でも他に言い訳みつかんなかったし。
赤い糸だなんて言っても、現実思考の彼には怪訝な顔されるだけだし。
「ほんと、お前いつも意味わからんな。」
うぅ…
「まぁ、そこが可愛いんだけど。」
…え。
「え、何、今なんて言ったの?!」
もちろん聞こえてたけど。嬉しい言葉は何度でも聞きたいよね?
「は?何も言ってねーよ!!!」
本当、可愛いのはどっちなんだか。
「照れちゃって。可愛いー!!」
勢いに任せ、彼の腕にしがみつく。
そして彼の赤い顔を伺いながら、こっそり彼の小指と自分の小指を絡めてみる。
見えないんなら、私から繋ぐ。何度も何度も繋ぐから。
私とあなたの赤い糸
この繋いでいる小指と小指を
どうか振りほどかないで。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!