[携帯モード] [URL送信]

main
僕が彼女を抱きしめるとき


ヒトって忘れてく生き物だから



だから、君のことだって簡単に忘れられるんだよ?



そう僕に言い放った彼女は、その強気な態度と裏腹に、自身の大きな瞳に今にも零れ落ちそうなほど涙を蓄えていた。


その美しさにまた、僕は吸い込まれるんだ。









僕はこの、真っ直ぐな瞳に惚れた。

そして僕は何度も、わざと彼女を傷付けた。

初めは、いつも気持ちが読めない彼女の反応をみて、自分が安心したかったから。


でも彼女の涙は格別で

ビー玉の様に澄んだ瞳に蓄えられた雫に
そっと口付ける度にゾクゾクとした。

それに気付いてからは、彼女の涙を飲みたいという欲求を満たすためにあの女を使った。
僕がズルズルと関係を切らなかったから続いているだけの関係。
それでもすごく役立った。



でも、もうやめるよ。


だって、僕は気付いたんだ。

僕のこの欲求が満たされても、心が満たされることがないってことに。

逆に、雫を飲むほどに彼女は笑わなくなったんだ。

僕が唯一幸せだと感じられるものは、彼女の笑顔と鈴のような笑い声だったのに。


欲求が満たされることが、必ずしも幸せに繋がるわけじゃない。


こんな簡単なことになんで気付かなかったんだろう。



















それは

僕が彼女と幸せになりたいとき








それは

僕が 彼女に愛の懺悔をするとき











[*前へ][次へ#]

10/11ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!