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部下の気持ちを知ろう
(土方視点)



ブーブーとポケットからの振動が服を通して肌へと伝わってきた
携帯を開き目に入ったのは『沖田総悟』という部下の名

「俺だ」
「…っ…土方…さん、誰か呼んでくだせ…」
「総悟!どうかしたのか」

普段仕事では自分が疲れる前にこなす一番隊隊長が息を切らして喋りかける

「ちょいと左足が動かなくて…。なんとか人目は…避けやした」
「わかった。今向かわせる。場所は何処だ」
「…ここは…」

「総悟?」
「駄菓子屋の…路地でさァ」



すると電話はプツリと消えた

駄菓子屋
そんな店江戸には沢山ある
しかし彼が一瞬口ごもった様子で気付いた


「万事屋の近くの駄菓子屋に行け」




車を走らせ急いで向かう
屯所を出たときは雨がポツリポツリ降っていた
車を走らせるうち、それは槍のように鋭く、滝のように豪快に降り続けていった

「…」

無事で居ろ
それだけを考え視界の悪い外を睨み付けた










「総悟!」

駄菓子屋に着き直ぐに路地を覗き込む。奥には人影がうっすらと見えた
この雨のカーテンのせいでハッキリとはわからないがあの黒服は真選組の一員を示す



「総悟!総悟!!」


近付いてその様を見るとなんとも無残
左足の中央を撃たれ大量の血が沸いて出る
そしてこの雨。出血が激しすぎる

「どうした総悟…。浪士どもに闇討ちされたか…?」
「夜…兎が、チャイ…ナを」



そう言うと意識を手離したのかそれ以上は口を開こうとも目を開こうともしなかった

「副長…隊長は」
「大丈夫だとは思うが応急措置をしてくれ」
「はい」


怪我を負っている彼を『大丈夫』とは言えないがこんなことで死ぬわけはない

総悟を連れに任せ自分は運転席へと移る
車を走らせ屯所へ向かう
その間ずっと気になっていたのは総悟の言葉

『夜兎、チャイナ』

たった二つの単語だけじゃ何を言いたいのかは何もわからない
しかし彼は『夜兎がチャイナを』と言った
その後に続かれただろう言葉は容易に想像できた

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