[携帯モード] [URL送信]

We haven't hope yet.
ドッペルゲンガーは辞書にある
(沖田視点)



「チャイナ!!」
「真選組か」
「テメ…」



病院を出て『来島また子』を探していればチャイナが倒れた姿。そして近くにいた男の姿を目にした

刀を抜いて襲いかかろうとしたが身体は硬直して言うことを聞かない
それはきっと相手の迫力とかそんな大層なものじゃなくて、只単にその身形、顔立ちのせい


「夜兎…」
「正解」

人を嘲るような笑顔で傘を向けてきたそいつは発砲する

「、っあ」

いきなりのその行動に不意をとられた俺は左足を奪われた
痛みに耐えて相手に視線を戻すと既にその場には跡形などなかった



「チャイナ…」


そっくりだった

夜兎だから身形は似ていたとしても、俺が『夜兎だから』なんて腑抜けた理由で剣を抜かないわけはない
その姿形は俺を一瞬で惑わせた
そして俺は精神の弱さと穴の空いた動かない左足を見つめるしかなかった










「んぐ…」



カツ…カツ…と音をたて我が魂と言うべき金属を杖のように使用しながら歩く

痛いだのなんだの知ったこっちゃない
もう血が出過ぎて何がどんな痛さなのかさえもわからない



「…はぁ…はぁ」

人目につかない路地へと入ると一息付くように座り込む
自らのスカーフで止血したが紅く紅く滲み出ているそれを見るとゾッとする




「…これが夜兎の力…。いや、こんなのは序の口かねィ」

只銃で撃たれただけなのにこんなにも弱音を吐く自分に笑えてしまう

「クソ…っ…バカが…」


許せなかった
チャイナをさらった男が
チャイナと同じ顔をした男が






そんな奴に負けた自分が
…己を責めて責めて責めて
その中でたった一つだけ責める言葉じゃないものを想像する
『強くならなければいけない』
今の俺にはその想いがどれだけ必要なことだろう

[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!