[携帯モード] [URL送信]

We haven't hope yet.
赤と青は混ぜれば紫
(神楽視点)



私のせいでみんなが…
昔の私も迷惑をかけていたみたいだけど…今の私の方が絶対…




「どうしましょうか。これから」


『スナックすまいる』の前で立ち尽くして話を聞いてはいたものの、軽く居場所がない空気を味わってしまった
ピリピリした雰囲気は自分に合わなかったのか、または逃げたのか



「まぬけだわ。ほんっと…」

行く宛も無いくせに勝手に歩き出して
何がみんなに迷惑かけたくないよ
既に…沢山…




「…落ち込んでなんか…いられないな」

とりあえず今は歩き続けよう
そしてどこか良いところを探し当てて住めば良い話

上手くいくとは思っちゃいない
只、今はそんな事しか考えられないから仕方のないこと










「…!わぁ…」

ハッとするとここは一体何処なのか。全然わからなかった
しかし横に在る店のショーケースを目に入れればどうでも良くなった

「ブティック…」

店のショーケースに飾られていたのは可愛いワンピース
全てを吸い込む美しい水色で涼やかなイメージを与えてくれた

ショーケースのガラスに映る自分の姿を見るとさっきまでのイメージとは真逆
燃えるような赤い服はそれはそれで魅力なのには違いない

しかし今の自分ではどうしても目に入る青が限り無く羨ましい

「…」

きっと、以前の私ならこんな色などどうでも良かったのだろう
性格どころか『昔の私』が消えかかっているような気持ち




「こんにちは」
「!」


スッとガラスに映ったのは番傘を頭上に掲げている男性



「…こんにちは」






「傘、ささないの?」


いきなり話しかけられて驚きながらも向かい合いこちらも挨拶をした
すると次に発せられた相手の言葉に私は『?』を浮かべるしかない

「君は夜兎だろ?傘が無いと倒れちゃうよ」

傘…、そういえばスナックすまいるの前に居る時はさしていた
確か天気が曇りでずっと持っているのに疲れてしまい銀髪に預けたのだ


「今はお世話になっている方に預けてしまいました」
「へぇ…」

傘を上げ、顔を覗かせた


「貴方…」

『誰かに似てる』





それが第一印象だった
しかしその思考を伝えることは出来ずに私は倒れた

「…っ…」

ぐらりと視界が揺れとっさに手を出すも触れたのはヒヤリとした地面


「ほら、傘が無いからだよ」

「…どうして…夜兎…?」



聞きたいことは沢山あったが意識が朦朧として口を動かせない

「じゃ、行こうか」
「…?何…?」

サーモンピンクの派手な髪を後ろでお下げに結んでいるその男性は何かを言ったが全くわからなかった

ただ、その時に感じたのは
腕を捕まれる触覚
『チャイナ』と叫ぶ聴覚
火薬を思わせる臭覚
少々苦い味覚
真っ暗な視覚


その五感が何を意味していたのか知らずに
私は意思を閉じた

[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!