教育実習生のおにいさん@
【2年生の6月、浴尿、アナル開発】

朝、ホームルーム前の騒然とした教室で、しょうじは今日も相変わらず、ゆうたの猛攻を受けていた。

「しょうじってさあ、なんかさあ、パンダに似てるよね」
「はあ?なんだそりゃ。どこがだよ」

ゆうたの話題はいつも突拍子がなく、不毛なことをやたら力説してくる。
低血圧なしょうじにとっては、朝からそのテンションがどこから沸いてくるのか謎だ。

「んー。どこだろう。たれ目なとこ?とか眠そうなとことか」
「あっそう」

毎日、毎放課、ゆうたはあきもせずしょうじの席に通いつめる。
しょうじはうっとおしがる素振りをしつつも、内心、大変満足していた。

「あー、それよかウサギに似てるかも。白くてちっちゃくてかわいいし」
「お前だって似たような身長だろうが」

突然、教室内がどっとざわめいた。
黒板のほうを見ると、担任の先生の隣りに、見知らぬ若い男性がいた。
担任が身振りを交えて何かを説明し、その人はうなずいて聞いている。
話が済むと、担任はいつものように教卓に立った。

「昨日も予告しましたが、今日から4週間、教育実習生の…こら、静かに!」

クラス中、特に女子たちが馬鹿騒ぎするのを先生が諌めた。

「えー、実習生の幸田先生が、みんなと一緒に勉強します」

きゃーっ、とまた歓声。更には拍手まで。

「では幸田先生からあいさつを」

今まで一歩後ろでにこにこしていた実習生が、真ん中に立った。
蛍光灯の明かりを浴びて、はっきりと顔がさらされた。
そしてしょうじはその顔に目が奪われた。

「はじめまして。今日から4週間この1年2組でお世話になります、幸田まもるといいます」
「きゃー!」
「かっこいー!」
「イケメーン!」

幸田まもる先生の雰囲気は、ぱっと周りの空気を冴えさせる輝きを持っていた。
男性アイドルというよりも女優に近いベビーフェイスで、肌には一部の曇りもない。
背は言うほど高くないし、ガタイがいいわけでもすらっと細いわけでもないけれど、姿勢がいいせいか、全体的に好印象。
しょうじは、盛り上がる女子たちを無視して、そんなふうに妙に冷静に観察してしまった。

「また気になることがあったら聞いてください。がんばって勉強しますので、よろしくおねがいします」

実習生の割には落ち着いた自己紹介だった。
その上品さが更に女子たちの熱をあおり、いよいよ収拾がつかなくなってきた。
やかましい。

「先生!」

ひときわ大きな声がしたと思ったらゆうたが立ち上がっていた。

「まもる先生は彼女いるんですか?」

皆興味津々とばかりに静まる。
まもる先生は少々面食らったようだが、すぐに花のような笑顔に戻り、爆弾発言をした。

「彼女じゃないけど彼氏ならいますよ」
「えー!」
「それってどおゆうこと?」
「ホモ?ホモ?」

今度は男女共に騒ぎだす。
しょうじは、よくそんなことを堂々と公言できるな、ということに驚いていた。
ともあれ、親近感を抱く部分もあった。
ゆうたが好きでしょうがなくなる自分を異常だと思っていたが、そういう人種はファンタジーではなかったらしい。
なしくずしに終わったホームルームのあと、生徒に取り囲まれるまもる先生を、しょうじは遠巻きに観察していた。

「先生なんさい?」
「どこすんでんの?」
「彼氏ってどんなん?」

その人ごみの中にゆうたの姿を見つけたとき、なんだか、いらっときた。
いつも暇さえあればしょうじと話したがるゆうたの関心が他に向いたことが気に食わない。
好印象だったまもる先生が、とたんにうざく思えてきた。

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