ぽん太
一心不乱に
飼ってた人がいなくなったあと、数日間
家に閉じ込められていたぽん太……
しばらくは、あるもの食べて飢えを凌いでいたでしょう……
自分で片付けなんて出来ないのだから、糞尿にもまみれていたでしょう……
なにもなくなった時
外に出たくて必死にドアを引っ掻き続けたと思う。
『あけて〜』
『出して〜』
『お腹空いたよ〜』
『喉が渇いたよ〜』
ぽん太の爪は根元から折れたものが数本
何本かは新しい白い半透明の爪
一本だけ、爪が根元からないまま……
『誰かあけてよ!!』
『お腹空いたよ!!』
『爪が折れて痛いよ!!』
『体が痒くてたまらないよ!!』
犬の爪には神経も血管も通っています。
痛くてたまらなかったでしょう。
それでも
ぽん太は部屋のドアを一心不乱に引っ掻き続けたんでしょう……血だらけになり、やせ細り、それでも、扉が開く事を信じて……
警察に発見された時には、ぼろ雑巾のようだったと、航空機で送られてきた姿も、そのままだったと聞きました……
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