7 「こ、怖かったぁ……」 ビビがほっとした様子で魔物から飛び降りる。 案外元気そうなので安心しながら、私はみんなの方に歩いて行った。 「おまえ、ケガはないか?」 「うん、何とか」 ズボンの土を払いながら、ビビは心配そうなジタンに首を振ってみせた。 「良かった……君までさらわれちゃったらどうしようかと思ったよ」 私は本当にほっとして、ちょっとだけ涙がにじんでしまった。腕で乱暴に拭って、その場の勢いでビビをぎゅうっと抱き締める。 あたたかい。 「あ、あの、ナナコ…?」 「…生きてるんだよね、ほんとに」 当惑していても振りほどこうとしないビビは、やっぱり優しい子なんだな、と私は思った。 そうして色々と一杯一杯だった私は、後ろにはまったく注意を払わずにいた。 様子がちょっと変だと気付いたのは背後でパキりと枝が折れるとても小さな音がしたときだ。 何か確認しようと思って何の気なしに振り向こうとしたとき、ジタンが血相を変えて後ろに飛んだ。 「あぶないっ!」 その瞬間、変な緑色の霧が浴びせられて私とビビはそのまま倒れた。 霧を吸い込んでしまい私は激しく咳き込む。肺が焼けるように痛かった。 段々ぼんやりしていく視界の中、膝をついていたスタイナーさんがゆっくり倒れるのが見えた。 「ひめ……さ……ま……」 すごく無念そうな表情だ。 彼なら化けて出るのも不可能じゃないかも、と自分でもあまり意味がわからないことを考えているうち、私の視界は真っ暗になった。 [*前へ][次へ#] |