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新たな仲間!デルタチーム5
 カールズを軽々と持ち上げ、大きく振りかぶり、力任せに投げつける。なす術なく、道路を転がりながら吹っ飛んだカールズは、突き当たりのビルに半分埋もれる形で沈み込んだ。立ち上がろうともがくものの、身体が思うように動かない。

 トライゴンが耳障りな咆哮を上げる。胸板が開く。


 ―――ミサイルか!


 「させるかあぁっ!!」


 吹きつける雨がごとく注ぐミサイルを前に、カールズの元へイグニスが一直線に駆けつける。両腕のキャノンを構え、無数のミサイルに狙いを定めた!

 幾発となく落とされてゆくミサイル。しかし次から次へ迫るそれらは、予想を遥かに上回る。カールズの前を陣取り、いくら手数を放とうとも、

 ―――落とし切れない!!


 「ブロウクン・・・ブラストオオォォォッ!!!」

 「食らえぇっ!! シュトロムキャノン!!!」

 ミサイルの雨がイグニスとカールズを包み込む、刹那。ブローの両拳がアスファルトを抉り、亀裂を走らせた。

 足場の揺らぎに思わずたたらを踏んだ敵へ、間髪を入れずイーガルの攻撃が降る。

 シュトロムキャノンの直撃を受けたトライゴンは、悔しそうに雄叫びを上げながらビーストモードへ変形すると、地面の中へと潜り姿を消してしまった。

 クソッ!とその穴を覗き込むブロー。その脇を、イーガルが飛んでいく。

 「イグニス! 大丈夫かよ!?」

 カールズを庇おうとしてミサイルを最後まで止めようと戦った彼は、まともに攻撃を浴びてしまっていた。力なく伸ばされた腕を引き、肩を貸して立ち上がらせる。



 見渡した景色は酷いものだった。アスファルトはひび割れ、ビルは倒壊したものもある。何とか敵を追い払ったといっても、これでは敗北も同然だ。



 「あなたがあんな攻撃をするからです。余計に被害を拡げてどうするつもりですか!」

 「じゃあ隊長たちがむざむざやられんのを見てろってのか!?」

 「そもそも、あなたたちが私の命令を聞いていればこんなことにはならなかったんですよ。」

 ふざけるんじゃねえぞ! 怒りに身を震わせたブローの拳が空を切る。それはエースの顔すれすれをかすったにとどまった。

 本気で殴れば、彼のボディがひとたまりもないことくらい分かっているからだ。

 そんなブローの怒りを無視するように背を向けたエースに向かって、イーガルが声をかけた。

 「お前な、命令命令っていい加減にしろ! 牛も子猫ちゃんも、お前のコマじゃねーんだよ。」

 ムッとして振り向いたエースが、イグニスを支えて立つイーガルを見下ろす。

 「チームメンバーがリーダーに従うのは当然です。」

 「そういうのを自分勝手っつうんだよ! 大体テメーらのせいで、こいつらこんなになったんだろが!!」

 ばっと仲間を指差し、イーガルが叫んだ。傷だらけのイグニスとカールズを見て、エースとブローは顔を俯けてしまう。

 その様子は、何とも煮え切らない雰囲気を漂わせていて、イーガルは舌打ちを一つしてブローを呼んだ。

 「チッ・・・おい牛、子猫ちゃん運んでやれ。ここ修復しなきゃならねーし、俺らもリペアが必要だからな。」

 「・・・・・・分かった。」

 カールズの身体を担ぎ上げ、歩き出したブローの後ろにエースが続く。一言も言葉を交わさないまま、彼らはサンクタム・フラットへと戻ったのだった。


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