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新たな仲間!デルタチーム4
 地底から響くような雄叫びを上げるブローに呼応するかのように、トライゴンもまた大気を震わす叫びを上げた。エースの制止も聞かずに駆け出した二体が、敵と真っ向からぶつかり合う!

 「おっ先ーっ!」

 組み合い、拮抗したブローの脇から、カールズが飛び上がる。そのまま敵の肩を踏み台に跳ね上がり、空高くから急降下の姿勢へ移行。チッ、とブローが舌打ちをした。


 「クロースラァ――――――ッシュ!!!」


 両腕を大きく振りかぶり、落下スピードに乗せて鋭い鉤爪を振り放つ!

 金属同士の擦れ合う嫌な音と共に、トライゴンの脇腹に大きな鉤裂き傷ができた。かぶりを振って痛がる敵の身体から身を離し、今度はブローが低く体勢を落とし―――


 「ブロウクン・・・・・・・・・ブラストオォォッ!!!」


 大きな拳を力一杯握り、渾身の力でトライゴンの身体に叩き込む!

 パワータイプであるブローの一撃に、トライゴンは悲鳴もなく地に伏した。

 「やーったね、オレってばかっくいーっ♪」

 「おい、何でテメエの手柄になってんだ!? こいつは俺が倒したんだろうが。」

 「ちっがうよ! オレのクロースラッシュのおかげで、ブローは攻撃できたんだろー!?」

 「何だと・・・・・・? テメエがいなくたってなあ、一人で十分こんなやつ倒せんだよ!!」


 「やめなさい!!」


 またも口論を始めた二体へと、エースの鋭い叱責が飛ぶ。思わず口をつぐんだ彼らが、面倒臭そうなアイコンタクトを交わした。

 「とりあえずは、倒したので良しとします。ですが、これからは私の指示に従ってもら―――」

 『まだ終わってないわよ! エネルギー値上昇、立ち上がるわ!!』

 エースの説教に被さって、ユイリの切羽詰まった叫びが走る。ハッと敵を振り返った彼らの前で。

 ゆらりと立ち上がったトライゴンが、禍々しい咆哮を轟かせた。


 後ろ足で立ち上がり、前足が両腕へと変わる。

 尾は背へとドッキングし、首がすっくと伸びて頭部が外れ、そこへロボットの顔が現れた。

 外れた頭部は腕へ装着され、鋭い歯をカチカチと鳴らす。


 より強大に変貌を遂げたトライゴンは、真っ赤なバイザーをぎらりと光らせた。



 「ギャアアアオオオォォォォッ!!!」



 荒々しく雄叫びを上げ、ぐっと上体を反らす。慌てて飛び退くデルタチーム。するとトライゴンの胸板が開き、中から無数のミサイルが放たれた!

 「なっ・・・!?」

 「うわああっ!!」

 予測していなかった攻撃に巻き込まれ、爆煙の中に消えるエースとカールズ。ブローだけは足元に転がる瓦礫を盾に、幾らか攻撃を防いだようだったが。

 「おい、大丈夫か!」

 問い掛けに、ゆらりと立ち上がる影二つ。何とか無事と知って、ブローが一つ溜息をついたが、それにしても二体のダメージは相当だ。被弾した街への被害もひどい。

 「主任、マグネフィールドの使用許可を要請します。」

 通信機に短く告げたエースに、アキラが珍しく戸惑いがちに答える。

 『それが・・・できないの。』

 「? 何故ですか?」

 『他にもパラサイダーの反応があるんですよぉ。今いる敵にダブってるみたいに。でも、反応が弱すぎてポイント捕捉できないんです〜。』

 『マグネフィールドは一度きりのもの。敵を一度に網羅しなければいけないわ。それで困ってるの。』

 アキラとミズキの返答に顔を見合わせる三体。しかし辺りを見渡しても、近くにパラサイダーらしき影はない。反応は誤りなのか?

 「ギャアアアアアアッ!!」

 「っ、なんて考えている暇はなさそうですね!」

 更に攻撃を繰り出してくるトライゴンから距離を取り、エースが苦々しげに吐き捨てる。

 「やっぱ倒しちゃうしかないじゃん! 被害が拡がる前にさっ!」

 やはりどこか楽天的なセリフを放ちながら、カールズが駆け出した。自らより二回りほど大きな敵を軽々と飛び越え、背後に回る。

 カールズに続いて、迫る爪を掻い潜り、ブローもまた相手の懐へと飛び込む。二体がトライゴンを前後から押さえ込んでいる間に、エースが武器を構え、狙いをつけた。


 銃口からビーム弾が放たれる、瞬間!!


 「ギャアアァァオオオオッ!!!」

 「ぐああぁぁっ!?」

 身をよじった敵の力に引きずられ、ブローの身体が横へずれた。ちょうどそこへエースの攻撃がヒットする。ハッと息を飲み武器を下げたエースを振り向き、ブローが低く唸り声を上げた。

 「おいテメエ、何しやがる!!」

 「何って・・・・・・攻撃に決まっているでしょう!」

 「じゃあどこに狙いつけてやがんだ!?」

 「い、今のはあなたが動いたから!!」


 「お前らケンカしてる場合かッ!!」


 空中から響いたイーガルの怒号に、二体がハッと我に返る。

 「エース! ブロー!」

 まだ敵に組み付いたままのカールズが叫び声を上げる。いくらカールズが仲間より頭一つ高くても、ロボットモードのトライゴンに比べれば小さいもの。敵が身体を捩る度、あちらこちらへ振り回されてしまうのだ。

 その時、一際激しくトライゴンが身を震わせた。バランスを崩したカールズは、思わず組みついていた手を離し。

 束縛を解かれた敵の両腕が、彼の身体を掴んで―――


 「にゃああああっ!!?」




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あきゅろす。
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