短編
10
「オレ結構前のクラスでも頭いい方だと思ってたけど、なんかZクラスって別格だよな?」

 
教科書を開いて問題を解きながらこの一か月、不思議に思っていたことを口にする。


「んー?どういうことだ?」


オレの疑問に頭の上から気怠い声が質問に質問を返してくる。

……この体制についてはあまり突っ込まないでほしい。
現在オレは保健室にまで運んでくれた男の胡坐の上に座っている。

だれだ!ひざ抱っこいったやつは!?
表にでろ!!
オレはでないから!


怪我をしていたオレを気遣い面倒みるのに都合がいいということで、なぜかこの座り方がいいらしくすっかり元気になった今でも癖になったのか一緒にいるときはこの体制のままなのだ。


とりあえずそんなこんなでオレは現在新しく移り変わった寮の部屋で勉強をしているのだ。

なんか頭の上でにおいを嗅がれたり、頭に唇をつけられていることなんてない!見えていないのだから気せいだ!
もしかしたら将来のオレの毛根の心配をしての頭皮のマッサージかもしれないし。

 
「なんかみんなが解いている問題って明らかに高校で出すような問題じゃないよな?オレ、問題の意味すらわかんなかったぞ?」


なぜかZクラスで配られている教科書が異様にハイレベルで難しすぎるのだ。


「まー。そうだろうなZクラスは飛び級で大学卒業したやつや、IQが高いやつなんかが通うクラスだからな」

「へ?」

「落ちこぼれクラスとかあっちで言われてたんだろ?まぁ、天才がすることは凡人には解らんからバカか落ちこぼれにみえるんだろ?Z組にはクラスの授業に教科担当の先生来ないだろ?あれは俺たちに授業を教えれる教師がいないから来ないだけ。あと俺も大学院まですでに卒業してるぞ?」
 
「へ?」

「さっきから『へ』しかいってねーぞ?」


音を立てて旋毛のあたりに唇をまた当てた感触がした。



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