短編
5
「マジで酷いなそれ……」
ボクは彼氏にされたこと、皆に言われたことをそのまま陵に話をした。
最初に『くん』を付けてよんだら、『くん』付けされて呼ばれたことがないから、やめてほしいと言われて呼び捨てで名前を呼ぶことになった。
木から飛びうつって部屋に入ってきた陵の姿は、キラキラとした染めた金の髪、たくさんピアスの付いた耳、ハッキリ言うと不良だった。
「つか、毎日泣くぐらいなんだからその彼氏のことまだ好きなのか?」
「………分かんない、心が麻痺しちゃったのか考えても好きなのか嫌いなのかもわからないんだ」
「じゃあなんで月見て泣いていたんだ?」
「うーん。上手く言えないけどあんなに嫌われていたなんて気がつかないで、皆といて楽しいと感じてた自分がなんか惨めで……」
「まぁ、向こうも翼に気がつかれない様にしてたみたいなんだからお前が気がつかないのは仕方ないんだし?惨めに感じるのはしょうがないけどそいつらもう関わらないでいいんじゃないか?」
「うん、そうできたらいいんだけど、生徒会の仕事を自分の都合で途中で辞めるわけにはいかないだろうし……今まさに無断で休んでるボクが言っても微妙だけど……」
ボクがそう言うと目の前の陵は大きく目を見開いた。
なんだろう?
「翼ってあの生徒会補佐の西川 翼?!じゃあ、彼氏?いや元彼って生徒会長の三島 拓か!!」
「う、うんそうだけど……?」
『あの』ってなんだろう?
ボクのこと知らないみたいだけど、知ってるみたいな言い方。
「翼はもう三島 拓とは付き合ってないんだよな?」
「う、うん。あんなこと言われちゃったら付き合ってるなんて思えないし……だから付き合ってないと思う」
「よし!!今からちょっとひどいこと言うけど勘弁な。俺さ生徒会補佐の西川 翼ってやつがあんまり好きじゃなかったんだ、女っぽい見た目と生徒会補佐ってだけで勝手に女々しいヤツって決めつけてた。でも、結構お前泣き虫だけどナヨナヨしてないし意外としっかり自分持ってるみたいだから俺はお前と友達になりたいと思ったんだがいいか?」
「友達に?………ボクも陵と友達になりたい!」
偶然とはいえ泣いているボクを気にして話しかけてくれたし、知らないボクに対して親身になって話を聞いてくれて言葉をくれた陵。
確かにボクの見た目は背も高くないし、色白だし、顔も女顔だから陵が見た目で判断するのもしょうがないけどちゃんとそのことを謝ってくれた上で友達になりたいと言ってくれた陵とボクこそ友達になりたいと思った。
クラスにも友達と呼べるような人がいなかったボクにはすごく嬉しいことだった。
なぜか皆話しかけるとオドオドしたり赤くなったまま動かなくなるから、ボクから話しかけることはしなくなったんだ……
だからこそ普通に話しかけてくれた生徒会の皆を仲間だと思ってたんだけど……
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