短編
1
「別にいいよ」



オレこと三井 紺(みつい こん)の青春を全部かけた告白にオレの好きな人ーーー天羽 啓介(あもう けいすけ)は確かにそう答えた。




あの告白から一ヶ月、有頂天だったオレも少し落ち着き冷静に周りを見ることができるようになった。

玉砕覚悟の告白だった為にまさかのおーけーが貰えて毎日が薔薇色の日々だった。
違うクラスのオレは月曜日と木曜日には天羽の教室まで昼を誘いに行き一緒に食べ、一緒に食べた日は一緒に帰るという感じだった。

オレとしては毎日ずっと一緒にいたいが、友達付き合いも大事だと思い月曜日と木曜日だけ誘うことにしている。
天羽に付き合って重いと思われて嫌われたくないし……

月曜日と木曜日の昼飯は一緒に食べると格別に美味しい気がするし、帰り道もいつもと変わらないのにキラキラと輝いているようにみえる。
天羽効果スゲー!

とにかくオレは天羽が大好きだ。
身長は高めですらりとした体躯に、真っ黒で短い髪、ちょっと冷めた目のオレ好みの顔。
きっちり着こんだ詰襟の学生服がかっこいい!

オレの身長は高くもなく低くもないし、明るく染めた茶色の髪に、まぁそこまでかっこよくはないがブサイクでもない普通の顔。
学生服は首が締まる感じが嫌なので緩い感じで着てます。

こんなフツメンなオレは付き合えて舞い上がっていた日々を振り返り気がつく。

休日にデートしたこともない、もちろん家にいったこともない、手を繋いだこともない、キスもしたことない、電話もメールもラインもしたことない……そして
一度も天羽から昼飯も帰りも誘われたことがない。

いつも誘うのはオレからで、一緒にいるときも喋っているのはオレだけだ……


ふと考える。
これって付き合っているといっていいのか?

オレは天羽に「好きです」と告白した、
天羽は「別にいいよ」と答えた。

「別にいいよ」とは言ったけど
「付き合う」とは言ってない

これってもしかして「好きでいても別にいいよ」の「別にいいよ」なんじゃ……

いやでも……
オレはちゃんと告白したし月曜日と木曜日に昼飯と帰りを誘ってるし自分でも大好きオーラを噴出させてる。
好きじゃなかったら天羽だって月曜日と木曜日のは断ってくるはずだし……

ひとりで机の突っ伏してウガー!ってなっていたらクラスの仲の良い友達にどうした?と声をかけられ
ちょっと相談してみることにした。

[次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!