長編
4
「逃げ切れると思ってやがったのか?」
今、オレの前には凶悪そうな笑顔を浮かべた長谷川生徒会長様がお立ちになっておられる。
さっき食堂で偶然会話っぽくなっただけだし、目が合ったのも実は遠く見てただけかもと心を納得させてフラフラと南にある小さな広場に飛んできてみた。
ここは南側にあるけど特別棟と講堂の陰に隠れてるすごい穴場だったりする。
遠回りしないとたどり着けないからね。
壁を通り抜けれるオレには問題なす!
いくら他人に見えないといってもやっぱり人のいないところで寛ぎたいと思うのは人として当たり前だと思うんだよに。
霊だけど。
その小さな広場の芝生で霊仲間の猫の雪之丞さんのモフモフよってマッタリ癒されてたら長谷川生徒会長様が現れたのだ!
「うぎゃわぁ!なんでここに来てるの?っていうか見えちゃってるの?!」
雪之丞さんを抱き締めアワワワと後退り…ちがうな後飛びをする。
「見えてるから来てるんだろーが、なにいってんだよ」
ちょー怖い。
オレ霊だけど青ざめちゃう。
よ、よし!逃げちゃえ。
「てめーまた逃げやがったら本気で無理矢理封印して飼い殺しにしてやるぞ?」
ピタッ
なんかおっそろしい言葉が聞こえたよ?
グギギギと振り返ると明かになにか紋様が描かれた入れ物と御札を掲げておりました。
「逃げません!ボクいいこ!」
ササーっと飛んで戻りそのまま空中で正座をする。
「わかりゃあいいんだよ」
ニヤリと長谷川生徒会長様が笑い、入れ物と御札を箱にしまう。
なんだろうあの入れ物と御札…
恐ろしくて聞けやしない。
じーっと箱を見てると視線を感じて目線をあげたら長谷川生徒会長様がこちらを見ておいででした。
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