長編
12
よく寝てしっかりご飯を食べた智はすっかり元気になり、出来上がった書類を各委員に届けに廊下を歩いていた。

「智、歩くの早いな」

「陸太は飛んでるくせにおせーな」

・・・・・・なんだとぅ?!

ムッとした瞬間、雪之丞がオレの肩から降りてどったに行った。

「あ、待って」

「なんだよ?俺様の足の長さに付いてこれないのか?」

「ちがうわぼけ。正面から転校生劇場のメンツが来るっぽい」

肩に乗ってる雪之丞は転校生がかなり苦手らしくて近くき来そうになると、オレの側から離れてどっかに逃げてしまう。

「まじか?隠れるとこねーぞ?」

「そこの空き教室のカギ中から開けるわ」

すいっと壁を抜け、ふん!!と気合いを入れるとカギが触れる。
すぐに回してカギを開けると音をたてずにドアを開け智が教室に入りカギを締める。



すぐ後から廊下に煩い声が響きだしてきた。

「智はひとりで寂しがってるから俺が側にいてやるんだ!!」

でっかい転校生くんの声。
つか、まだそんなこといってたんか。

正面から来たってことは生徒会室に向かってるのか。

扉外からカギを開けても無駄なんだけどな。
さっき智がスライド式の鍵を業者に取り付けさせてたし。

よくトイレのカギにあるあのカギね。
横に動かすと締まるやつ。

オレが中でカギを締めて壁を抜ければ、あらふしぎ密室が出来上がりました!
となるわけよ。

これで留守の間に生徒会室には誰も入れないし、居るときも中から締めちゃえばこちらから開けないと誰も入れなくなるという優れもの。

この学園の鍵をはカード式だから何でも開けれるカードを持つ転校生くんはかなりウザイ。
まぁ、最新のカードキーも古くからのガッチャン式カギには勝てなかったと。

さすが昔の人はすごい!


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