長編
8
「智!ひとりでさみしいだろうと思ってきてやったぞ!!」

突然生徒会室の扉が乱暴に開き、入ってきたのは転校生くんだった。

かなりひびった。
心臓がどきどきってなるわけなかった。
でも、びびった。

それにしても声でけーよ。

「うるせーな、来てくれなんてこれっぽっちも頼んでねーよ」

眉間に皺を寄せた智がかなーり不機嫌に言い捨てる。

「そんなこと言うなよ!俺には智の気持ちがわかるんだぞ!ほんとは寂しいんだろ?だから俺が側にいてやる!」

わぉ!
いつもの俺はわかってやれるんだ攻撃だ!
生で間近で見ちゃった。


「なにいってんだテメー。邪魔だからさっさと出ていけ」

智の物凄い冷たい眼差しに転校生くんは一瞬ひるむが…

「お、俺は智が素直になれないから俺のほうからきてやってるんだぞ?素直になれよ!」

おお?こ…これはまさか…

「テメー…勘違いもいい加減にしておけよ…」

すべての不機嫌さを顔に集中させたようなおっそろしき顔になった智。
これって転校生くんのことを智が好きって思ってるって勘違いしてるんだよな?

おかしいな、いままで見てきた態度でどこをどうみたら転校生に好意を寄せてるように見えたんだ?

「俺のことを好きにならないハズがない!自分の気持ちに正直になれよ!もしかしてまた悪霊にとりつかれているのか?よし!俺が払ってやる!」

うほほ!
本業の人に対して転校生くんがまた勘違い発言だよ。
智がめちゃくちゃ呆れた顔してる。

しかし面白いけどかなりうるさい。
俺はまた妙な呪文を唱え出した転校生くんの隣にすーっと移動する。

なにしてんだ?って顔で見てくる智ににやりと笑い、転校生くんの腕に触れる。

「ッ?!わぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

転校生くんは大声をだしその場にへなへなと座り込む。
智が「なにしたんだ?」という目で見てくるので

「生気吸いとってみた」

と、転校生くんには聞こえてないだろうから普通に話す。

「なんだよこれ?!いきなり身体が…!?」

転校生くんにしたら突然身体中の力が抜けたんだからかなり驚いたはず。
結構多目に吸いとったのに元気だな。

「テメーが悪霊なんていもしねーのに変なことするから呼び寄せたんじゃねーの?」

ニヤニヤ笑いながら智がそう言うと転校生くんは顔を真っ青にしてあわてて生徒会室を飛び出て行った。



「あんまりにもうるさいから吸ってみました」

「家業的には注意どころか払う対象になるかもしれねーが…」

えへへ。って笑って智を見ると恐ろしい答えが返ってきた。

「かなりうるせーし、あんだけ元気有り余ってんだから少しぐらいいいだろ。陸太よくやった」

腕を組んでニヤリと笑う智は大魔王のようでした。




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あきゅろす。
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