長編
17(side綾崎 楓)
(side綾崎 楓)



陽斗さま!陽斗さま!
僕のだーーい好きな陽斗さま。





陽斗さまと別れて教室に帰り授業を受けながら外を見ると雲ひとつない綺麗な青空に、大きなお日様が教室を照していた。



日に当たると金色にキラキラ輝くお日様にみたいな薄い茶色のサラサラの髪。
日焼けなんかしたことないような透き通るような綺麗な肌。
そして、翡翠色の不思議な瞳の綺麗な瞳。


ほんとにほんとに綺麗な人なんだけど少しのんびりとした緩い話し方に、いつもニコニコしてて話しかけやすい雰囲気、耳には日替りで違うピアスをいつも着けているところからチャラい男と入学当初は思われていた。

背もそれなりにあったのでよく受けと呼ばれる男たち「抱いて下さい!」と迫られることも多く、抱いてあげてると本人もそう言ってた。


僕も当初は陽斗さまをそういった緩い方かと思ってたんだ。
すぐにできた親衛隊に入ってある日空き教室に呼び出した陽斗さまに「抱いて下さい!」と僕は言ったんだ。


絶対抱いてもらった子達の中には本気になって悲しむ子もいるだろうし、自業自得とはいえ本人達は割りきったつもりでもつらい思いをするのはその子達だけ……

軽い気持ちでネコの子を抱く陽斗さまに僕が鉄槌でも下してやろうと思ったんだよね。


だって頼まれたからって抱かずに断ることだってできるでしょ?
いくら溜まるからって好きといってくれる子を利用するなんて最低だと思うんだ。


だからほら、僕ものすっごくかわいいし健気に振る舞っておけば絶対に僕にメロメロになるだろうしね!


大体バカな男どもは僕の顔だけをみて好きになり、性格が可愛くないと文句をつけてくる。
最初好きになるのは顔なのはいいとして、人の性格に勝手な理想を押し付けて違うと文句を言うのは腹が立つ!

顔から勝手に性格を判断してそれが違うとなると散々文句いってくるもんだから、腹が立つから力で押さえつけてやるとしょぼい捨て台詞を吐いて逃げていくんだよね。
僕だって男なんだからそれなり……ちょっと……だいぶ……かなり力が強いんだから!


顔はかわいこちゃんなオレの「抱いて下さい」と言うに言葉にすぐ「いいよ〜。ここでする?」と、返事してきたもんだからこの男サイテーだと思ったね。

そんなことはもちろん顔に出さず恥ずかしがる演技しながら「陽斗様とならどこでも……」と言いながら、どうやってボッコンボッコンのケチョンケチョンにしてやろうかと思ってたら……


「はい!ぎゅう〜!」


と、突然抱きついてきて……


「ぎゅう〜って抱いたよ〜!」


とニコニコキラキラとした笑顔で笑っていたんだ。


「え?」


僕は間抜けな声を出して何されたのかわけのわからなくなった頭を整理しようとがんばってると。


「あり?正面じゃなくて横からのぎゅう〜がよかった?」


陽斗さまは首を傾げた。


「みんなぎゅう〜すると不思議そうな声出すんだけど……やっぱり横からとか後ろからがいいのかなぁ?……正面って不人気なの?」


と、真剣にかなり的外れなことを言い出した。


………!!!!!!!!

うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお?!


これは純粋ナチュラルボーイだ!!
今、僕の前にナチュラル純粋ボーイがいる!!

僕は目の前でうーんうーんと悩んでいる陽斗さまの見た目や噂とはまったく違うそのかわいらしい性格に気が付きました!


ぎゅう〜ぎゅう〜言いながら首を傾げる陽斗さまは
美人なのにすっごくかわいいかったです。


きっとネコの子達の抱いては横でも縦でも正面でもありませんよ?とは、さすがに教えてあげられませんでした。

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あきゅろす。
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