長編
15:学生寮だよ
龍也さんと手を繋ぎながら着いた学生寮。


この学園の寮は高級ホテルと間違えそうなくらい綺麗な寮なんだ。

さすがにフロントはないけど入ってすぐ右側に寮監室があって茂さんはいつもここに座ってテレビみてるんだ。
今はちょうどお昼だから鬼〇観てるみたい。

〇平はかっこいいよね!再放送しかみたことないけど渋くてかっこいい。


「こんにちはー、茂さん」


小窓からのぞきこむと茂さんが「お?」っという顔をして振り返った。


「陽ちゃんか、部屋の移動するって話はそこの城戸くんから聞いているよ」

「ごめんね茂さんこんな中途半端な時期に……」

「生徒同士の事だからあたしは何も聞かないけど、陽ちゃんが夜遅くまで頑張ってたのは知ってるよ」


だから陽ちゃんが謝る必要はないんだよ、とどこまで知ってるのか分からないけどそう言って茂さんは笑って小窓からしわしわの優しい手をだしオレの手をぽんぽんぽんと撫でるように叩いてくれた。


「部屋の荷物は業者に頼んでおいたから気にしないでいいよ。城戸くんに迷惑かけないようにね。ゆっくりおし」


目尻に沢山しわを寄せて笑う茂さんが大好きでシワのある手にすりよった。
たくさんの優しさが詰まったこのシワのある手が大好き。


「陽ちゃんは甘えん坊だから、城戸くんよろしくね。みんなあたしの孫みたいなものだけど陽ちゃんは特別だからね」

「えへへへ〜茂さんだ〜いすき!」


もう一度手にすりより撫でてもらう。


「最近顔色があまりよくなかったからゆっくり休んで元気になったらまた部屋に遊びにおいでな」


目尻のシワを沢山寄せて笑ってくれる茂さん。


「うん!」


オレが返事をすると龍也さんも頭を撫でてくれる。
茂さんの前でやられると照れるやい。


「そうだなまずは元気にならないとな。茂さん……陽斗が元気になったら一緒に遊びに来ます」

「そうかそうか、お茶菓子用意して楽しみに待ってるよ」


絶対に遊びにいく〜!
元気になった後の楽しみがまた増えちゃった!!





茂さんと別れ廊下の奥にあるエレベーターに乗って七階のボタンを押す。
エレベーターの上にいくときのフワッっと浮く感覚あんまり好きじゃないんだよね。


「茂さんと仲がよいな」

「うん、会計に選ばれる前よく茂さんの部屋に遊びにいってたんだ〜。オレ時代劇すきだから一緒に観てたんだよ」

「陽斗は渋いテレビを観るんだな(時代劇見る陽斗か……ギャップも悪くないな)」

「なんか時代劇好きなんだよね〜。鬼◯とか、八丁堀とか好きで録画して観てたよ」


再放送だから平日の昼にやってるから観れないんだよね。

そんな話をしてるとすぐエレベーターは目的の七階に到着。
オレが先に降りるのを龍也さんはドアを押さえて待ってくれていた。
紳士すぎる!


「ありがと〜」

「ん?」


なんでお礼言われたか分からないご様子!
無意識でやっちゃうとかかっこよすぎる〜!


「そうだ先に軽く説明しておくな。この階はだいたい風紀委員で固められていて、要保護対象のやつと同室になっていることが多い。俺の部屋は一番奥でその隣の二つ部屋が副委員長の部屋で、風紀では委員長と副委員長の三人だけが一人部屋になっている」


ざっくりとこのフロアの説明をしてくれた。
けど、気になる言葉が……


「要保護対象?」


ってなに?


「ああ陽斗は知らないのか、小さくて見た目がいい容姿の男などはこの学園では危険があるからそういう男を要保護対象として風紀と同室になることになっている」

「な、なるほど〜」


この学園でかわいい容姿の男の子って貴重だから、男の子同士のじゃれあい以上のことをされちゃうらしいんだよね。

って楓ちゃんが言ってたな〜。

オレにも注意してくださいって言ってたけど、楓ちゃんの方が心配な容姿してるんだから楓ちゃんこそ気を付けないとね。
身長はそんなに低くないけど楓ちゃんって飛び抜けてかわいいから。

……あり?そういえば楓ちゃん風紀と同室じゃないよね。
確か遊びにいったとき同室の人水泳部っていってたような……
大胸筋を自慢してきてうっとおしいんですーとか言ってた気がする。


「龍也さん!龍也さん!楓ちゃんは風紀と同室じゃないよ?あんなにかわいいのに……」

「あーー?……あー……ここの階には他人に抵抗できないほどか弱い男が要保護対象になっているから元気な綾崎なら(逆に相手が心配になるぐらいだから)大丈夫だろう?」

「そっか要保護対象って大人しい子なんだ。そうだよね、大人しい子だと大きな声で嫌だって言えないだろうしね」

なるほどなるほど、かわいい子全部に風紀つけるとしたら人数たりないから大人しい子中心なのか〜


「(よし納得したか……)まぁ、容姿がいい奴らはだいたい親衛隊がついたり、親衛隊に所属して固まって動くからそれほど監視する必要はないしな」

「ほほ〜」

「この話はとりあえず終ろう。部屋の前に着いたぞ」

「はーい!」


C707って書いてある扉の下に[城戸 龍也]って名前のプレートが差し込んである部屋の前に辿り着きました。

いよいよお部屋拝見です!

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