長編
13
実はかくかくじかじか〜って楓ちゃんに説明をする。
オレのことをすごく心配してくれる隊長さんだし教えておかないといけないよね。
「陽斗さま、かくかくじかじかじゃ分からないです!だけど愛のパワーで受信しました!」
エッヘンと自慢していた楓ちゃんは、手を前で組みで祈るように見上げると目をうるうるとさせた。
「陽斗さまはほんとうにがんばっていました。親衛隊一同に学園の生徒はみんな知っています。だから陽斗さまはゆっくりお休みください、辞任することで何か言う人は(黙らせますから)いませんよ」
「うー…楓ちゃぁ〜ん!」
「陽斗さまー!」
感極まって楓ちゃんに抱きつく。
一見美少女だけどちゃんと男の子の楓ちゃんは意外と力があって抱きしめるつもりが反対に抱きしめられちゃった。
「陽斗さま、すごく抱き心地いいしすごくいい匂いがしますね〜」
くんくんくんと首もとの匂いを嗅がれる。
「やぁ〜ん、楓ちゃんくすぐったいよ〜」
「陽斗さま……陽斗さま!はるとさぁまぁ!!」
楓ちゃんひめっちゃ押されググググっと後ろに倒れそうにぃ〜
みゃ〜!た〜お〜れ〜る〜ぅ〜!
「いい加減にしないか」
なにやら低い声で制止する城戸さんは手でオレの背中を支え、もう片方の手で楓ちゃんの襟首を掴まえて猫のようにぶら下げていた。
「陽斗が潰れる」
「わかりました〜。さっさと降ろして下さい風紀委員長サマ」
手を離されぷんぷん怒りながら地面に華麗に着地する楓ちゃん。
「ぺって投げないてくださいませんか?風紀委員長様」
「投げてはいない、棄てただけだ」
そうですか〜ウフフと楓はニッコリ、ハハハと龍也さんはニコリと二人はなんか和やかに話してる。
不穏な会話っぽかったけど、和やかだし気のせいだったのかな?
「すいません陽斗さまがあまりにもいい匂いで、一瞬我を失ってしまいました」
「大丈夫だよ。でもいい匂いで良かったー、臭い言われるより全然いいよ」
体臭くさいとか言われたら落ち込んじゃうよ。
体臭って自分で分からないからどんな匂いかわからなかったけど、いい匂いって言われてよかった〜
「陽斗さま…純…粋すぎます。絶対に騙されます壺買わされちゃいます!よ」
「大丈夫だ壺は買わせない、ずっと俺が側にいるし守ってやるから安心しておけ」
壺は買わないよ…楓ちゃん…
心配そうな楓ちゃんの言葉に龍也さんが……龍也さんが……!?うわわ……
「こらー!城戸め!なにいってるんだよ!陽斗さまも顔真っ赤にしないでーーーー!」
「ふっ…」
「勝ち誇った顔ムカツク!ウウッ……うちのかわいい陽斗さまがぁぁぁ…」
すでにほだされてる……とブツブツ言いながら廊下に崩れ落ちた。
「でも、あのクソアホボケバカ生徒会役員どもと金魚の糞より大分ましのような……」
「あんな奴等と比べるな」
ちょっとムッとした龍也がもう一度楓ちゃんの襟首を掴み立ち上がらせた。
龍也さん、楓ちゃんはかわいいけど猫ちゃんじゃないよ。
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