長編
10
「今帰ったぞー」
如月先生が一杯飲んで帰ってきた一家の大黒柱のようなセリフを言いながら帰ってきた。
「おかえりなさ〜。お布団にします?ゴハンにします?それとも…ア・タ・シ?」
「ごはんで」
「冷たい!」
「仕事終わって帰ってきた旦那は疲れてるんだよ。普通はまずはメシかフロだろうが」
「やだ〜枯れてる〜
「枯れてねーよ、潤いまくりだちゅーの」!
見せてやろうかー。とか言いながら如月先生は持っていた用紙をペタリオレのおでこに貼った。
「なぁにこれー?」
「診断書」
「ほよよ?」
「帰りに保健室よって保険医に書いてもらったんだよ」
辞任はちゃんと受理されたから安心しろと、あたまをなでてくれる。
頭をなでてくれてるのを堪能しつつ、おでこの用紙を剥がして確認する、体調不良で三日間の授業免除って書いてあった。
「なぁにこれー?」
「まぁ、小さなご褒美だよ。生徒会辞めたら授業免除使えんだろ?寝不足のお前に休暇をやろうっていう俺の優しさだ」
「うそー!まじで?今日火曜日だから…水木金…日曜日までやすみ?」
「そうだ。ほれほれ、おれを尊敬して敬え」
「ただのホストじゃなくてほんとに先生だったんだね!」
「ハハハ。しばかれてーようだな」
「ゴメンナサイ」
悪人面めちゃこわいです。
三日だから水木金と学校休めて、土日と休日だー!
「まぁ、体調不良ってことになってるからあんまりフラフラ外に出歩くんじゃねーぞ?」
「それじゃあ食べ物たくさん買い込まなくちゃ!」
あとで敷地内のコンビニ行って日持ちするのでも買おうかな。
「あ、でもオレ帰る寮部屋ないんだけど」
「は?今までのとこに帰ればいいじゃねーか」
うん、まぁそう言うよね。
「いきなり生徒会辞めちゃったのにかいちょー達と同じフロアの部屋ってのも落ち着かないっていうか、顔合わせにくいっていうか〜」
生徒会の役員の寮部屋は最上階の同じフロアにあって、もし会ったりしたらなんて顔していいかわからないからなるべくなら空いてる部屋に移動したいなぁ〜。
「まぁ、わからんでもないな。あのフロアバカ達がモジャモジャを連れてきたりしてるって噂があるから部屋を移るのはいいかもしれんな」
と、先生は肯定してくれたんどけど
モジャモジャってなに?
ゆるキャラ?
「あ!如月先生って寮監室の電話番号しってる?」
「茂さんとこのか?あー、机の引き出しに教師用の連絡網みたいなのがあったような?」
なんという曖昧さ。
でも探してみよーっと思って振り返るとちょうど龍也さんが電話終わったらしくブレザーの内ポケットにスマフォを仕舞っていた。
「オレが連絡しておいた。今空いている部屋が無いらしい」
「ええ〜…」
なんてこったい。部でも屋ないならしょうがないかぁ。
スネークしながら部屋戻ればいいか……
段ボール被ってれば大丈夫かな?
「で、相談なんだが俺の部屋は一人部屋で使っていない部屋がある。陽斗がいいなら俺のとこに(嫁に)こないか?」
「えッ!?いいの?ぜひお願いします!」
わーい!やったー!
そっか風紀委員長も一人部屋だったんだね。
「なんか副音声が聞こえた気がしt……なんでもない……」
如月先生が後ろでなにやら呟いたあと般若コエーとか言ってる。
般若??壁にかかってるお面あるの?キョロキョロしてみるが見当たらなくて首を傾げる。
「(たしか寮って何かあったときのために何部屋か空室あった気がするんだが……城戸の顔が怖すぎて聞けない……)和泉は城戸の部屋でいいのか?」
「もちろんオーケーだよ。むしろお願いしたいぐらいだよ〜」
部屋がもし空いたらそっちに移動すればいいんだしね。
「(如月先生は余計なこと言わないようにしてくださいね)よかった。じゃあ荷物はあとで運んでもらうように手配しよう」
先生を一瞬見てから、龍也さんはオレをみてニコリと笑った。
お〜!ケメンスマイル〜。
「それじゃあ行くか、案内をする」
そう言うとすっと来たときみたいにまた手をつながれる。
恥ずかしいけど嫌じゃないし、心配してくれての行動だしいいっか〜。
「如月先生お邪魔しました〜
挨拶すると如月先生は妙な顔をしてこっちをみた。
「ま、まぁ、和泉がんばれよ。色々と…(電話をかけたとはいったが城戸のやつ茂さんにとはいってないな……まぁ、珍しく城戸が気に入っているみたいだし大丈夫か……?)」
如月先生がナンバーワンホストから突然場末のスナック店長みたい顔になって手をふってくれた。
どうしたんだろう?
そんなことを思いながらオレ達は生徒会顧問室を退室した。
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