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グライダー

飛べなくなったおいらは
もう終わりなんだ


どうしよう


みんなは自由に飛んでるのに


おいらだけ飛べないなんて


そんなの嫌だ


でもそんなこと言っても
戻らないんだよね


衰えるにつれて
無くなってしまう
フライングラーと言う
体の機能が


おいらの場合
早く無くなってしまったんだ


どうしておいらなんだろう


これ、死にはしないけど
病気なんだってさ


こんな病気かかりたくなかった


自由に飛んでる友達を見ると


本当に羨ましくなってくる


おいらだけ
徒歩生活か


そう考えてると


『どうしたの?』


って声かけられた


おいらが振り向くと
そこにはおいらと同じくらいの男が立ってた


今は喋る気分じゃないんだ


おいらは口に出さず
その男を無視した


どっかでは話したいって思ってるんだよね


『君も、もしかして若年性フライングレス症候群?』


おいらのかかった病気だ


おいらが肯くと


男の人は


僕もそうなんだよね


と、笑顔で言った


どうしてこの人は
笑っていられるのか


全く理解出来ない


何で君は笑えるの?

たまらずそう聞いたら


男は


グライダーがあるから
平気なんだ


そう言ってまた笑っていた


確か男の名前は
名無しだったはず


おいらは


グライダー?


そう聞き返した


うん。
実際飛べないけどさ
憂いても仕方ないから
走ってるんだ


名無しも空を見上げる


色んな人が飛び交っている


走るのと飛ぶのって
似た感覚なんだよ
君もやってみたら?


名無しはそう言っておいらにまた笑顔を浮かべた


彼は走ることを


グライダーって呼んでるらしい


『じゃぁ、あの教会まで走ろうよ』


気が付いたら
おいらは名無しと走っていた




確かに
飛んでるみたいだ




よく考えたら
おいら、走ったこと無かった





飛んでるみたいだ




あの日から
おいらの心にも
フライングラーが宿ったんだ




名無しが教えてくれた
グライダー








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