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06.



アレンとマナさんが行っちゃう日。
私は父さんと一緒にお見送りに来ていた。

「それでは、お世話になりました♪
ほら、アレンも」

「うん…。
―――ばいばい、なまえ」
『――――』
「なまえ?」

下を向いて顔をあげないままの私にアレンが声をかけてきた。
心配してくれたのだろう、それが嬉しかった。

『ううん、何でもない。大丈夫だよ』

嘘、だよ。
本当は、好きだよって言いたかったんだ。

好き。アレンが好き。
初めて見た時からずっと――…。

なんて。
私みたいな子供がこんな大人びたセリフを言えるわけない。

本当の気持ちだけど、言えないよ。


『また、逢えるよね?』

これを言うのが精いっぱいだった。

これを言うとアレンは苦笑して、すぐにほほ笑んだ。

「世界は広い。世界は凄く広いです。
でも、でもなまえが僕に向かって歩く事を忘れなければきっと逢える。きっと、ね。
だからそれまでお別れです。次会う時には僕もっと大きくなってやりますから」
『――うんっ!!
次会ったら今よりずぅぅっとマシになってると思うよ、私が』
「なに、それ」

二人の笑い声が辺りに響いた。
嬉しかった、アレンが言ってくれた事。
アレンの笑顔が、何処か寂しげで私の胸が濡れた縄で締め上げられる感覚がした。

そして「またね」と手を振った。
小さくなっていく背中が、見えなくなるまで。
ずっと、ずっと―――。









私、歩き続けるよ。
君に向かってずっと。
君の背中を追い掛けて。
何時か君に会えると信じて。

先の見えないこの道を歩き続けるよ――。










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あきゅろす。
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