03. 「名前―――――!!!」 『うげげっ』 大声で私の名前を呼ばれる。恥ずかしいっつ―のに!! 嗚呼、ほら見て御覧なさいラビ。部活の皆が…。 「副部長、彼氏さんですか〜?」 「やっぱ名前って愛されてるよねぇ」 「羨まし―」 「きゃあ!!副部長カレシ居たんですか!?嘘、どk…」 ひとしきり騒いで、ラビを見た途端固まるうちの部員達。 そしてまた騒ぎ出す…。 「嘘ッ、嘘嘘嘘ッ!!!副部長のカレシって…。 あの超大人気なラビ先輩!!? 副部長今すぐカレシをください」 『彼氏じゃないから君にあげようじゃないか』 「え、副部長の彼氏さんじゃないんですか?」 「何言ってんさ、名前。オレ達m『当たり前です。こんな惚れっぽい奴、誰が…』 「うあ、君ストライクッッ!!!!」 ラビがうちの部活の天使である後輩にストライクした。 天使ちゃんの両手をごつごつとした手で包む様に持っている。 天使ちゃんは、やはりあの大人気のラビ先輩なので、 顔を赤くしてオドオドしてる。うあ、私もストライクです。 「え、あ、えっ…………?」 『あ―、もう。言ったそばから…………』 私は大きくため息をついてから、天使ちゃんをラビから引っぺがすように抱き寄せた。 天使ちゃんは助かった!!という表情を浮かべて背中に細い腕をまわしてくる。 嗚呼、もう可愛いなあ天使ちゃん。ザマ―ミロ、バカウサギ。 『ちょっとラビ!!この子うちの天使! お前みたいなウサギには手の届かないような我らがMysweetangelなの!!離れなさいこのウサギ!』 「名前、異様に英語の発音良かったさ…」 『お褒め頂き有難う』 「副部長ぉぉ……」 『おーよしよし。怖かったね―』 よしよしと天使ちゃんの頭を撫でてあげる。 天使ちゃんは心底うれしそうな顔をして、こういった。 「はい、怖かったです…」 「うわ、天使ちゃん素直すぎんだろ」 『あ、認めちゃうんだそこ』 「で、彼氏さんは副部長に何の用で?」 「おー、そうだった。危うく忘れるところだったさ」 ラビは私の方に向き直して、にかっと笑った。 「今日遅くなるかもしんね―けどさ、一緒に帰ろうぜ、名前」 『断る。断固断る』 「あ!?ちょ、ヒデェさ!!」 『最後の一年だもの、後輩や同級生と思い出作りたいじゃない』 「何を言ってるんですか副部長!!副部長もう高3でしょう!? 部活も良いですけど、カレシとの思い出作りも大切ですっ!!」 『黙れマセ餓鬼』 「いやいや、言ってる事は本当だよ? ほら、後輩の世話は部長に任せなさい。お前は中学ん時から部活しか見てね―もんな。 色恋沙汰にも手を出していいと思うよ!」 『色恋沙汰興味ありません、こいつにも興味ありません。 恋なんて一時期の病気なのです。偉い人は言いました、恋など狂気の一種にすぎないと』 「恋しないなんて副部長可笑しいですよ。ほら、素直になったらどうですか?」 『素直な気持ちがあれですが何か』 「ラビ君名前を抑えててくれ!」 「了解さ!」 ―グイッ ラビが私の腕を引っ張り、抱き寄せる。 『ちょっ…ラビ!!?』 「良いなー、先輩!羨ましいです!でも我慢!!」 「それじゃあな―」 『ちょっと待て部員!!!!!』 すたこらさっさと去って行った。 これが一番近い表現かと思われる。 お前ら文化部なのに、大抵体育苦手なのにお前らこういう時だけ足速いな!!!もう!! ← → [戻る] |