07
パコン、パコンとボールを打つ音がまだ静かな校内に響く。
音の犯人は四天宝寺テニス部レギュラー陣。
つい先日、部活動を大きく左右するとても大きな事がわかった。
"オサムちゃんが目をつけたマネージャー候補がおるらしい"
この事について、レギュラ―陣は今日集まったのだが、煮詰まり、体を動かしながら考えようと言う事で現在に至る。
「なあ、謙也…。マネージャー、どないす、るっ!」
左手を包帯で包んだ男が、その腕でテニスボールを打ち返す。
彼の名前は白石蔵ノ介といい、この部活の部長を務めている。
「俺は、反対、やっ!!」
打ち返した彼の名前は忍足謙也といい、とても優しい好青年である。
「もしそのマネージャーが白石のファンとかにいじめられたらどないするんや、可哀想やろ」
「せやかて、オサムちゃんはもうその気満々やろうし、マネージャーがおったら後輩たちの練習時間が確保できるんやで?」
「…………けど、俺はやっぱり…」
そう忍足が言葉を濁らせた時、ライン際に深く重いボールが入った。
「ゲームセット、ウォンバイ白石、やな」
「………小石川」
「丁度ええな、小石川はどう思う?」
白石に話を振られたこの部活の副部長を務める小石川健二郎は、考える間を持たず、即座に返事を返した。
「俺はその子を見てからやと思うで。
白石の言い分も、謙也の言い分もよおわかる。
でも、尊重するのはその子の意志や」
「その通りや。
オサムちゃんにも自重するように俺から言っとくわ」
「おん、それがええな」
「…………」
「…謙也、何や不満そうやな」
「せやかて、その子いじめられたら…!!」
「そん時は小春に相談やわ。
きっとええアイデアをくれるで」
「………おん」
「おら、はよ行くで―。
財前達多分待っとるやろ」
とぼとぼと歩いていた為に出来た小石川との距離を自慢のスピードで詰めた忍足は、我先にと言わんばかりに部室に入っていった。
…謙也は優し過ぎんねん、そう白石は思いながら走り去って行く忍足を眺めていた。
―ガチャ
白石「遅れてすまんなあ」
小春「本間やでぇ蔵リン!!
んもぅ〜、待ったやないのッ!」
白石「はは、すまんすまん。
で、どや。そっちはマネージャーどないするか決まったか?」
一氏「おう、まあおった方が何かとええしな。
俺等は全員、マネージャー賛成やで。小春もいっとるしな!」
千歳「まあ、どんな子かは見極めんといかんばいね」
遠山「なあなあ!栗木田マネージャーにするん!?決定なん!?」
千歳「決定とまではいっとらんばい。
ただのミーハ―やったら困るけんね」
遠山「だぁ―――いじょうぶやって!
ワイな、栗木田の隣の席やねん!
栗木田かわええしめっちゃええ奴やで!!
なぁ―、しぃ―ら―い―しぃ―。もう栗木田マネージャーでええんちゃうん?」
財前「アホか。そいつがただのミーハ―やったらどないすんのや」
遠山「大丈夫やって!財前は用心深いなあ!
せやかて栗木田、女子やないもん!!」
白石「金ちゃん今その子敵に回したのわかっとる?」
遠山「へ、白石何で?
別にワイ本間の事言っただけやん」
白石「………取り敢えず、や。
金ちゃんとその子は同じクラスなんやな?」
遠山「おん!」
白石「せやな…、今日あたり…、いや。暫くはやめとこか。
俺等の前でだけええ子ちゃんされても困るしな」
小春「ねぇねぇ蔵リンっ♪その子呼び出すんやろ?」
一氏「せやったら俺等に任しとき!
最高にオモロく呼び出し状作ったるわ!」
白石「面白さは別に求めとらんのでええです。
まあ必要になったら言うわ、そん時はよろしゅうな」
遠山「おん!任せとき―!」
白石「っちゅう事で今日は解散や。
皆、クラス行ってえで」
栗木田のイメージは、
「見た目も仕草も趣味も女の子らしいのに、口を開いたらとっても☆勇ましい☆岡山弁少女」
です。
2011.8/11
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