俺は狂ってますか? 15 あいつは俺に取って、特別だった。 だから、俺も素のままの姿でいれた。 傍にいるだけで幸せだったから、 笑顔を作る必要なんて無かった。 けれど…… 他の奴の前では、俺は笑えない。 あいつに出逢って…… 初めて心の底から笑う事を知って…… あいつを失って…… 俺は笑う事が出来なくなった…… いつまでも引き摺っている俺は、 きっとバカなのだろう。 忘れてしまえば楽になるのに…… ………………? 忘れてしまえば……? 「? 風海?」 不安げに眉を八の字に下げた裕が、 顔を覗き込んできた。 「あ……嫌…… あいつは……特別だから……」 引っ掛かりを覚えた思考を無視し、 思いの丈を告げる。 すると、不安げといった程度の顔付きが、 情けない位に萎れた顔付きになった。 その様はまるで捨てられた子犬だ。 だからといって、 なんの感慨も湧かないけれど。 「………………よ…………」 「え?」 「俺には……無理だ…………」 . [*BACK][NEXT#] [戻る] |