俺は狂ってますか?
14
「俺の心を裕に向かせてみてよ」
裕から身体を離し、
頬をソッと撫でる。
「出来るでしょ?」
微笑みかければ、
裕は眉を下げ、悲しそうな顔をした。
「? どうしたの?」
なんか悪い事したっけ?
「その顔……
嫌だって言ったのに……」
ボソリと呟かれた一言に、
目を見開いて驚く。
「俺の前では普通でいるって
約束だっただろ……」
「あ…………」
裕に言われてから、気付いた。
裕の前では作り笑顔を見せない事――
それはずっと前に裕が決めた事で、
俺自身も飴を与える意味で
笑顔を作らずにいた。
それなのに間違えるなんて……
「なんで……? なんでんだ……?
あいつの前ではそんな顔……」
二の腕を掴まれ、
ギリギリと力を込められる。
痛みに顔を歪めるも、
裕は止めようとしない。
仕方無いなぁ……
「裕、離して」
「…………………………」
「裕」
少々強めの口調で言うと、
裕は渋々といった様子で、腕を下ろした。
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