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俺は狂ってますか?
13
裕は俺に捨てられるのを恐れてる。

俺がいなくなるのを恐れてる。

けれど、愛しているから
自分だけのものにしたい。

殺せば自分のものになる。


果てしなき矛盾――


裕自身、何をしているのか
分かってないんだろう。

昔からそうだった。

可愛がっていた犬も、
大切にしていた玩具も、
他人に触れられた瞬間、壊してしまう。

そして、壊してから後悔する。

後悔して涙を流す裕を
俺は何度見ただろうか……

馬鹿な裕……哀れな裕……

俺は……


「俺は殺されても、
裕のものにはならないよ?」


裕は俺を殺してからきっと気付く。

喩え俺を殺したとしても、
俺は裕のものにはならない。


「だって俺はあいつのものなんだから。
頭の天辺から、
足の爪の先まで全て、ね……」


俺が死んでも……
俺はあいつのもの。

俺が死ねば……
裕はあいつから、
俺を奪うチャンスを失う。


「悔しい?」


本当は聞かなくても、分かってる。

悔しくて悔しくて仕方無い裕の気持ち……


「だったら奪ってみなよ。
あいつから……」


だから俺は、裕のその思いを利用する。







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あきゅろす。
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